イタリア中部の地震で予想を超える被害

30.10.2016

Photo: boredpanda.com

 

イタリア中部を襲ったM5-6.1の連続する地震で古い建物が崩壊したが、多発する余震で被害が拡大している。1025日に地震に関する警報が出された直後の26日朝、中部北の国境付近をM5.8の地震が襲った。

 

この地域では2016824日にM6.2地震が襲い、建物の崩壊で死傷者多数を含む甚大な被害を受けたが、地震の規模と発生場所は警告の予想した通りとなった。もっとも新しい地震はM6.1で発生場所は同じであるため、余震の一部と考えられているが、目立った動きはなかったプレート境界が動いて、地震発生がギリシャに波及しそれより西一帯が地震にさらされることとなった。

 

北イタリアのトリノからスイス国境に至る地域でのプレート境界の動きはギリシャの山岳地帯が防波堤になったが、そのためにギリシャ側では560kmの地下でプレート境界が1.5cm動きM3.6の地震を引き起こした。イタリア中部に地震が多い理由は縦断するアペニン山脈が地殻変動で引き延ばされるためとされる。広範囲に見ればイラクから続くアラビアプレートの動きに強く依存するため、不安定な地域にあるという意味では日本とよく似ている。イラクも地震が多いがイタリアとイラクは地震に関しては運命共同体なのである。

 

 

Source: nollyscoop

 

このことでイタリア中部からギリシャ北部のプレート境界に活発な地震地域が移動していくことが懸念されている。イタリア中部の小さな大学街カメリノは建物が崩壊し瓦礫の山ができている。大学の学生750人は緊急に避難したが地震の振動は100km以上離れたローマでも感じることができたという。

 

地震火山の多さで知られているイタリアの街並みは石とレンガでできた古い建物で内部はリノベーションされているとはいえ耐震基準においては日本の比ではない。そのためM5-6クラスの地震でも被害は大きい。また日本でも熊本地震で余震が続くと震度が低くても建物の崩壊につながることもわかってきた。このため余震を警戒し市民たちは眠れぬ夜を過ごしている。

 

現地の筆者の友人からのレポートでは学生たちは被害にもめげず復旧に意欲を燃やしている。首相マッテオ・レンツィが急遽来訪し、大学のサポートの意思を表明した。大学関係者はTシャツに #ilfuturononcrollaというハッシュタグ、(il futuro non crolla = the future never collapse)と書いて、一週間で授業を開始するとして頑張っている。学生たちも絶対にあきらめないとインタビューで宣言しており結束が強くなったようだが、小さな大学であるがゆえに来年度から学生数が減るとみられ財政難に苦しむ可能性が高い。