Photo: South China Morning Post
地球温暖化が20世紀中頃からの人類の進歩(産業革命以降の発展)に起因する不可避の副産物である。温暖化のメカニズムが明らかになれば、地球環境を変化させて冷やす解決出来る可能性があると考えるのがジオエンジニアリングである。
ジオエンジニアリングの原理
太陽光を反射して地表に届く量を減らすことで地球を温める熱源を減らすことができる。それには上空の大気中に光を散乱する微粒子をばら撒けば良い、というのが基本的な原理である。しかし複雑系である地球の平衡を意識的に変化させれば別の効果が思ってもいないところに現れるかもしれない(バタフライ効果)。実行には注意が必要であるという慎重論も多く、また微粒子の中には硫酸塩など健康被害をもたらす恐れのある物質も含まれることから環境論者の反対も多い。
2015年9月に国連の気候変動に関する国際委員会では気候変動が20世紀半ばから増加した人間活動に起因することを正式に認めた。また委員会では微粒子散布に頼らないで、宇宙に巨大な反射鏡を浮かべて日陰をつくる構想さえ話題になったという。
微粒子を成層圏に捲く
宇宙反射鏡は実現性が乏しいかもしれないが、CO2排出量規制が進まないこともあり、何らかの方法で太陽光の照射量を積極的に制御しなければならない時期にきていることは確かだろう。硫酸塩の微粒子を成層圏に捲くことは火山の爆発で航空に吹き上がる噴煙を模した効果と考えれば、太陽光を反射してその分の地表の照射量を減らすことになる。
1991年に起きた大噴火で巻き上げられた微粒子による太陽光の減少で温度が0.5C下がりその効果は3年間続いた。このためCO2規制が進まない国々の政府は積極的に微粒子を成層圏に捲くこと、いわゆるケムトレイル、に毎年膨大な予算をつぎ込んでいる。ケムトレイルは日中、航空機が飛び去っても消えない白い帯で徐々に左右に広がるが、消え去らずに残るので飛行機雲と区別できる。
Source: cosmicconvergence
微粒子は氷の成長の核となり、高度が下がると雨滴をつくるので人口雨を降らせることになるが、気候温暖化で増えた分の降雨量は広い地域で見ればジオエンジニアリングによって減少することになり、極東アジアの季節的な降雨量が7%減少したとされる。
ジオエンジニアリングの功罪
しかし気温が下がっても産業化した地域の降雨量の変化を元に戻すことはできないとする意見もある。日射量が減れば水分の蒸発もその分減り降雨量も減るからである。したがって日射量を減らせば必然的に乾燥化が起きることになる。
また成層圏に撒かれる大量の微粒子でオゾン層が破壊される恐れもある。しかしジオエンジニアリングは過去50年にも渡って、世界中で行われてきており突然中止すれば(気温の低下に効果があるとするならば)、急激な気温上昇につながる可能性もある。
不透明なケムトレイル
しかし専門家の間でジオエンジニアリングの議論が十分行われないまま、政府は膨大な税金を投入してケムトレイルを秘密裏に進めている。ジオエンジニアリングの科学的な議論を尽くし、作業の透明性を高めなければ国民の同意は得られないだろう。ジオエンジニアリングの効果を明らかにして将来計画を立てるべき時にきている。地球温暖化のための安全な環境整備であれば隠す必要はない。