Credit: NASA
地球は一つの巨大な磁石であるが、地球磁場は反転することがある。岩石の磁化の向きから地磁気の変化を調べると、地球の磁場が反転を繰り返してきたことが示される。過去360万年間で11回の逆転が起きたが、最後の逆転は約77万年前で近い将来逆転が起きても不思議はない。
最近、地磁気の逆転の速度が増加していることを裏付ける複数の証拠が見つかっている。1590年以降の420年間にわたるNOAAの北極点の位置観測データが2000年頃から急激に増大している。これらの結果から地磁気逆転の傾向にあるとする考え方が広まった。
Source: magneticreversal.org
地磁気はヴァンアレン帯を形成し地球に降り注ぐ宇宙線や太陽風から、地球上の生命を守っている。そのため逆転が起きる過程で磁場が変動することで、オーロラや地球の気候にも影響を与える。半年前ぐらいから、地磁気の状態が変わり始めているのか、B5クラスのフレアでも6クラスのオーロラが出ている。数年前、同じクラスのオーロラはM5以上のフレアでないと出現していなかったことを考えると地磁気反転の前には地磁気が弱まることによる可能性がある。
精度の高い衛星観測データ(下図)も2000年以降の極点移動の増大を示すものだが、最新の欧州宇宙局が打ち上げた地磁気観測衛星SWARMの観測によると地球磁場が100年間で5%の減少傾向がある(Nature, 2014, 06-26)。
Credit: Institut Polair Francais
温暖化の元凶とされる温室効果ガスの発生が多い工業地帯では同時に排出されるPM2.5などの微粒子が太陽を遮断し、また雲の核となるため雲を発生させて地球が冷却される。地磁気の逆転に伴って地磁気は1桁弱まるが、このとき宇宙線の量は倍増し、より多くの雲を発生することで地球は冷却されると考えられている。
また地磁気の逆転に伴って地殻のプレート構造の動きが活発になり、プレート境界に局在する火山の爆発、地震と津波が多発するなど、地球上に起こり得る自然災害や異常気候を評価するためには、地球深部を記述するモデルで磁場の逆転の影響をシミュレートする研究や衛星で地磁気の挙動を正確に知り、地磁気を反映するオーロラなどの気象データと比較する必要がある。