化学療法は諸刃の刃なのか

28.09.2016

Photo: newscientist

 

化学療法を始めてから30日以内に死亡した英国の癌患者を調べた最近の研究によれば化学療法を受けた癌患者の半数が薬の副作用で死亡するという衝撃的な事実が明らかになった。

 

がん細胞を殺す化学療法は同時に正常細胞も破壊する。化学療法に使われる薬は免疫細胞も壊すため、抵抗力が弱り投与された患者が他の感染症にかかりやすくなることも死亡率を高める原因となっている。

 

医学雑誌に発表された研究(The Lancet Oncolog 17 (2016) 1203.では、2014年に化学療法を受けた23,000人の女性乳癌患者と10,000人の男性肺癌患者を調査した。このうち、1,383名が治療を受けてから30日以内に死亡している。

 

英国の病院では化学療法を受けた癌患者の死亡率は28%から50.9%まで病院によって異なる。化学療法は外科手術、放射線療法とともに代表的な癌治療であるが副作用の強い化学物質の影響は避けられない。死亡率の高い病院では共通した適切でない化学療法が見られるとして、治療法の見直しも検討する必要がある。

 

論文は薬の副作用について治療に当たる医師が細心の注意を払うように警告している。過去数十年にわたって癌治療に使われてきた化学療法であるが、より安全で副作用の少ない薬の開発が必要である。2016年のデューク大学メデイカルセンターの研究で人間の免疫細胞から作られた抗体が正常細胞に影響を与えずに癌細胞を標的として攻撃することがわかった。

 

化学療法のもう一つの問題は癌細胞が耐性を持ち出したため、効果が薄れてきたことである。このため投与量が増えて副作用が顕著になるケースも増えてきている。

 

Source: labiotech.eu

 

癌治療が製薬会社の利権によって歪められていることは広く知られている。

化学療法に利権を持つ巨大な製薬会社が政府に圧力をかけ、免疫療法のような副作用のない治療法の拡大を阻害している。化学療法への批判はこれまでも少なくなかった。これからは政府と製薬会社、病院と製薬会社との関係を断ち切って代替療法の活用を保証すれば、癌 治療の生存率が高まるであろう。