Credit: NIAID/Flickr Commons
英国のHIV患者が受けた新治療法によって奇跡的な回復を遂げたことで、ウイルス根絶が現実となる日が近いかも知れない。44歳のHIV患者は英国の大学からの50名からなる選抜研究チームの開発した試験段階にある新治療法を受けた結果、順調に回復した。HIVウイルスを根絶して完治できる抜本的な治療法となると期待されている。
英国の選抜研究チームで治療法を開発
研究チームによれば、治療後の患者の血液からHIVウイルスは検出されなかった。この結果は患者のHIVウイルスを根絶し完全に治癒できた初めてのケースだという。治療法の開発はまだ始まったばかりであるが、今回の成功はその威力を示すものでHIV治療の画期的な進展とみられる。(Sunday Times紙)
新治療法ではHIVウイルスに2段階の攻撃を行う。現在主流のレトロウイルス治療法では、ヒト免疫細胞のT-細胞にウイルスが隠れてしまうので、根絶が難しかった。HIVウイルスはT細胞に守られて正常細胞を破壊していくと同時に自己を複製して増え続けるため、治療法を無力化してしまう。
治療法はウイルスをT細胞からおびき出して殺す2段階攻撃を特徴とする。実際にはVorinostatと呼ばれる薬(Nature 487, 482–485 (26 July 2012))がウイルスの潜んだT細胞を探し出して、細胞増殖をさせて標的とし、休止していたT細胞で攻撃する。
Vorinostatは比較的低分子量(C14 H20 N2 O3)の新薬でまだ実験段階にある。薬品メーカーであるメルク社から販売されている。