Photo: freemalaysiatoday
サウジアラビアは6日、イランが支援するレバノンのヒズボラの攻撃をサウジアラビアによる宣戦布告とみなして強く非難した(ロイター)。敵対関係にあるサウジアラビアとイランはレバノンでたびたび衝突を繰り返してきた。レバノン首相のサード・アリ・ハリリ氏はイランの圧力に抗議して4日、辞任を決めている。
ヒズボラの背後にイラン
サウジアラビア湾岸総務大臣サマール・サバン氏はヒズボラ攻撃を指して、レバノン政府の行為はサウジアラビアへの宣戦布告であり、辞任したサード・アリ・ハリリ氏の在任中、ヒズボラ攻撃を中止させる機会があったとして強く抗議する姿勢を示した。
サマール・サバン氏はまたレバノン政府は全面戦争リスクを認識してヒスボラ政策を実行する必要があることを強調した。レバノンは1975-90年代の内戦で疲弊し現在でも復興の最中にあり、シリア難民の4人に1人はレバノン出身者だといわれる。ヒズボラの軍事力はレバノン政府軍より強大で背後でイラン政府が支援していることから、紛争激化でサウジアラビアとイランの戦争危機が視野に入ってきた。
突然のレバノン首相辞任劇の背景
サード・アリ・ハリリ氏は辞任に際しては暗殺計画が発覚していることを公表している。突然の辞任劇にはレバノンにある同氏の所有するサウジアラビアにある建設会社が汚職を理由に差し押さえられたことで辞任に追い込まれたとされる。辞任の真相は不明であるがサウジアラビアがレバノン内政に干渉せざるをえない現状は、イランの圧力が強まっていることを物語っている。今後、紛争がエスカレートすれば直接的な戦争へ発展する懸念がある。
Updated 11.11.2017 11:02 (JST)
11月9日、サウジアラビア政府はレバノンに滞在している国民に帰国を求めた。サウジアラビア外務省の通達によれば、一時入国、移住の区別なくすべてのレバノン滞在国民はただちに帰国するように求めている。
また同様の通達はバーレーン政府もほぼ同時に出しており、中東戦争の勃発のリスクが高まっている。
ロイターによれば辞任した前首相のハリリ氏はリャドに拘束されているため、イラン政府が外交筋を通じて身柄を引き取るよう工作を続けている。ハリリ氏に近い情報では辞任はサウジアラビア政府の圧力によるものだとしている。ハリリ氏の辞任演説でもこのことにふれて「生命の危険」と表現している。
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