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英Ipsos MORIの25カ国を対象とした移民と難民に関する世論調査(Global Views on Immigration and the Refugee Crisis)によると、過去5年間、自国における移民が増加していると答えた人は過半数を超えた。25カ国平均48%は移民が多すぎると警戒心を高め、高い移民増加国では移民政策に対する国民の態度が前向きから批判的に変化している。
世論調査(6月24~7月8日2017年)の対象になったのは、ベルギー、カナダ、フランス、英国、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ポーランド、スウェーデン、スペイン、セルビア、ロシア、米国、トルコ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ペルー、オーストラリア、ニュージーランド、サウジアラビア、南アフリカ、韓国、インド、日本の25カ国、16~64歳の計17,903人である。
2011年からの世論動向によると、最も移民を多く積極的に受け入れたドイツとスェーデンでは、移民が増加したと答えた人は2011年の22%と24%から85%と90%と最も大きく増加した。この移民の増加に対して、移民増加が社会に悪い影響を及ぼしていると認識する人も増え、移民受け入れ国の国民の態度が不安と不満に大きく変化していることの裏付けとなった。
世論調査の主な結果
・過去5年間、移民は増加していると思うか? 思う 75%
・移民は国に与える影響は良いか/悪いか? 良い 21%
悪い 42%
(注)トルコ、イタリア、ハンガリー、セルビアでは58%
・移民により国が嫌いな方向に向かっていると思うか? 思う 44%
思わない 24%
(注)「思う」はイタリアは77%、トルコは63%
・移民は多すぎると思うか? 思う 48%
思わない 21%
(注)トルコ83%、イタリア66%、南アフリカ62%、ロシア62%
この世論調査の結果は、移民政策に賛成する人より反対する人の方が多く、移民流入は国に悪い影響を与えると考える人は良いと考える人より倍多いことを示している。
この世論動向は移民政策、特に欧州における移民政策に今後大きく影響を与えるとみられる。24日のドイツ連邦議会総選挙で「反移民」のAfDが大きく支持率を上げたように、移民政策の変更がない限り、反移民の感情が拡大していくのは避けられない。移民政策の背景にある代理戦争に目を向けなければこの問題は解決しないことを理解しなければならないだろう。
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