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サウジアラビア主導のイスラム教スンニ派アラブ諸国の連合軍がイエメンを攻撃し始めて2年以上が経過する。激しい戦闘が続いていたイエメンの首都サヌアは4日、シーア派武装組織のフーシ派によって制覇された。サヌアからの脱出をはかっていたサレハ前大統領は殺害され、イエメン内戦は新たな局面を迎えた。
イエメン内戦とフーシ派の台頭
アラブの春の影響でイエメンでも反政府民主化運動に火が付き、33年間政を維持してきたサレハ氏は2012年に退陣に追い込まれた。当時のハディ副大統領はその後、サウジアラビアと米国の後ろ盾でスンニ派政権を発足したが、2015年にフーシ派により転覆された。シーア派のイランが後ろ盾となっているフーシ派勢力の拡大を脅威として、ハディ氏を支持してきたサウジアラビアは有志連合を結束、フーシ派勢力の排除に向けての戦闘を始める。
サレハ前大統領とサウジアラビアの協調
政権転覆後、フーシ派と同盟関係を築いていたサレハ前大統領は突如12月に入って同盟を解消、サウジアラビア側に寝返った。サウジアラビアはイエメン内での混乱と形勢が逆転することを狙ったとされる。
このことで首都サヌアではサレハ勢力とフーシ派が対立、サレハ氏の後ろ盾を失ったフーシ派の弱体化を期待したサウジアラビアはフーシ派を激しく攻撃したが、失敗に終わる。「裏切り者」とされたサレハ前大統領はフーシ派によって殺害され、サヌアは完全にフーシ派勢力の支配下となり、イエメンの反フーシ派勢力は大きく弱体化した。
サウジアラビアの「ベトナム戦争」とも言われているイエメン内戦。サレハ氏の殺害で、フーシ派の士気は一気に高まり、イエメン内戦の大きなターニングポイントとなると考えられる。今後激しい戦闘が予想されるが、サウジアラビアにとって勝利が難しい戦争をいつまで続けるかが注目される。フーシ派は12月3日、UAEのアブダビに建設中の韓国型原子炉施設をイラン製の対地ロケットで攻撃した。被害は公表されていないが来年稼働の原発は予定が大幅にずれ込むことは避けられない。
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