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米FRB(連邦準備制度理事会)のイエレン議長は7月にバランスシートの縮小を10月から実施すると発表した。最大で4.5兆ドルまで膨れ上がったバランスシートを2008年のサブプライム住宅ローン危機前の1兆ドルまで縮小する、バランスンスシート正常化プログラムである。10月を残すところあと1日となり、果たしてバランスシートの縮小が実行に移されたのかに注目が集まる。
バランスシート正常化プログラム
FRBバランスシートの縮小が開始されると、まず月間100億ドル(国債60億ドルと住宅ローン担保証券40億)の再投資が停止される。債権市場への影響を最小限にするため、保有債権は売却せず、満期償還された債権の再投資を停止する方法のバランスシートの縮小を目指すことになっている。
3カ月後の2018年1月から縮小額を100億ドル引き上げ(国債60億ドル、住宅ローン担保証券40億ドル)、その後は3カ月毎に100億ドル引き上げ、月間500億ドル(国債の上限300億ドルと住宅ローン担保証券の上限200億ドル)になるまで縮小額を増やしていく。月間500億ドルでバランスシートが1兆ドルに縮小するまで続けられる予定となっている。
10月のバランスシート
FRBの10月のバランスシートによると、縮小プログラムが発動されてから26日間保有している総資産は減少していない。
10月4日時点 4.460兆ドル
10月11日時点 4.459兆ドル
10月18日時点 4.470兆ドル
10月26日時点 4.460兆ドル
次回の発表は11月の2日で、10月27~31日の間に縮小を実践したかが明らかとなる。
FRBバランスシート縮小が市場に与える影響
これまでFRBは6回(1921-1922, 1928-1930, 1937, 1941, 1948-1950, 2000)拡張したバランスシートの縮小を実施してきた。そのうち、5回は金利引き上げとバランスシート縮小政策で景気後退を引き起き起こしている。
イエレン議長は景気状況が激しく悪化した場合のみ、バランスシート縮小プログラムの見直しをすると宣言したが、これまで、市場での混乱がないため、バランスシートの縮小が開始されたかは疑問である。バランスシートの縮小が市場に与える影響を恐れているのか、それとも縮小できないほど経済の状況が悪化、不況を招く可能性が高いのか、11月2日のバランスシート発表に注目する。
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