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ジョン・F・ケネディ元大統領(JFK)の暗殺に関する未公開資料の中でも関心が高いとされている暗殺実行犯のリー・ハーヴェイ・オズワルドに関するCIAの「オズワルド・ファイル」、計7巻のファイルのうち、第5巻が公開前に紛失していることが判明した。
JFKの暗殺に関する最後の未公開政府資料が10月26日までに全て公開される予定となっている。約500万件の資料のうち4万件の資料は安全保障上の理由から公開禁止となっている。1992年に成立されたJFK暗殺記録収集法では、25後以内に未公開資料の全ての一般公開を義務づけてある。
CIAの機密性の高い資料はラングリー空軍基地のCIA本部の警備部(Office of Security)で保管されている。これまで秘密解除された資料によると、「オズワルド・ファイル」の存在が最後に確認されたのは1978年であった。1997年には、CIAのケネディ暗殺に関する資料が暗殺記録評価委員会に引き渡されたが、その後ファイルの一部が紛失していることが判明した。紛失の件は26日の公開を前にして、JFK研究家のMalcolm Blunt によって最近明らにされた。
紛失した「オズワルド・ファイル」
JFK暗殺の実行犯とされているリー・ハーヴェイ・オズワルドは、元海兵隊で、キューバ危機でソ連との緊張関係が続いていた時代の1959年にソ連へ亡命した。その後アメリカに戻りキューバのカストロ派勢力の活動に参加している。CIA、特にアングルトン防諜担当副次官はケネディ暗殺の4年前からオズワルドに関心を持って、オズワルドに関する全てのファイルをCIA退官するまで直接管理していたとされる。そのためオズワルド・ファイルの内容はJFK暗殺の解明に重要な資料と考えられていた。
紛失した「オズワルド・ファイル」の第5巻は、2012年まで明らかに存在していたとする資料があるにも関わらず、CIAは紛失ではなく、その存在自身を完全に否定している。全7巻のファイルは上院諜報活動特別委員会や下院の暗殺問題調査特別委員会にも提出されており、委員会の参加議員は全7巻を読んでいるのは明らかである。では、なぜCIAは第5巻の紛失を否定、存在を否定し続けているのか?どんな不都合な事実があるのか、などに関心が向かれる。
アメリカ国立公文書館が公開始める
今年7月にアメリカ国立公文書館は3,810件に上る未公開のJFK暗殺事件に関するCIAとFBIの資料を始めて公開した。そこで明らかにされたことは、
-ケネディ暗殺が行われたダラスの当時ダラス市長(Earle Cabell)はCIAアセット(注1)であった。兄(Charles Cabell)は暗殺前の1962年にケネディ大統領によってCIA副長官を解雇されている。ダラス市長はケネディ大統領のダラス訪問、ダラス市内の自動車パレードのルートを考案、計画した人物である。本来であれば、大統領の安全の確保ができない理由から、オープンカーやパレード・ルートは却下されたはずである。
(注1)アセットとは CIA、FBI、軍や警察で使われる用語で、情報提供者、機密工作や諜報活動に使える施設、機具、補給品の他、個人や複数の人物を含むグループを指す。
-ケネディ暗殺から2カ月後に、アメリカに亡命した元KGBのYuri I. Nosenko氏 (注2、下の写真の左の人物)はソ連の暗殺関与とアメリカでの諜報活動の疑いで4年間CIAにより監禁、事情聴取を受けていた。しかしCIAは最終的にアメリカで諜報活動を行うためにソ連が送り込んだスパイではない、JFK暗殺にソ連の関与はないとの結論に達した。
(注2)Nosenko 氏は氏名を変えて最終的にはCIA アセットとなった。
-1970年代後半からCIA内部の一部で、ケネディ大統領暗殺事件を検証した調査委員会のウォレン委員会が結論づけたオズワルド単独犯行説に疑問の声が出ている。特にCIAが数回に渡りキューバのカストロの暗殺を行っていることから、キューバ政府がケネディ暗殺に関与したのではないかの疑いが浮上している。
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1963年11月22日にケネディ大統領が暗殺されてから54年。未公開資料が全て公開期限を迎えるが、果たして暗殺の真相が解明されるのかが注目される。最近の銃弾軌道解析によって単独犯ではないこと、複数犯がライフル狙撃を集中し最後の銃弾が致命傷となったことが明らかになっている。
Updated 27.10.2017 09:37
時事通信によれば一部の資料はさらに180日間をかけて内容を審査後、改めて公開の可否を決めるとされ、全面公開は先送りされた。どうしても外に出したくな事情があるようだが、暗殺者を雇った実行グループの20名は名前が動画で公開されている現実からすれば、公開資料はその検証にすぎないのかもしれない。
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