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英国のEU離脱、イタリア、オランダ、フランス、ドイツでの選挙で反EUや反移民政策を掲げる政治政党の躍進、カタロニア国民投票による独立宣言、ポーランドやハンガリーで台頭するポピュリズムの一連の動きで欧州の政治情勢は大きく変わろうとしている。15日のオーストリア国民議会選挙でもポピュリズム的な反移民、反体制の中道右系の国民党が大きく躍進し、第1党となった。
投票率は前回より高い79.3%で、60%は移民や難民の大量流入を進めてきた政府政策に強い不満を示している。オーストリアはドイツを目指す難民の通過経路の一つで、2015年以来100万人の移民・難民が通過していると報告されている。また、オーストリアはEU政策の一環として、大量の移民・難民を受け入れている。実に、人口870万人のオーストリアは総人口の1%、約8万7000人の移民・難民を国に受け入れている。
学校、病院などの公共施設への負担、移民や難民が受け取る寛容な社会保障による不公平さや財政への負担など、国民の不満は高まっていた。その不満を有権者が選挙で示した形となった。
今回の選挙結果で、国民党党首のクルツ外相は世界で最年少(31歳)の首相となる。国民党は単独過半数の議席を獲得できなった(得票率31.6%)ため、今後過半数政権か連立政権政を組むかが頂点となる。クルツ首相が提唱する反移民政策とEUによる国内政治への関与を最小限にする政策をどの程度実現できるかが注目される。