Photo: moneyweek
サウジアラビア国王が4日に汚職対策委員会を立ち上げ、王位継承者であるムハンマド皇太子をトップに任命してから数時間後に、現職大臣4人と経済界の有力者を含む王子11人と官僚を含む38人が相次いで身柄を拘束された。国外渡航は禁止され、銀行口座は凍結、首都リヤドの5スターホテルのリッツ・カールトンで拘束されている。6日にも有力な実業家が拘束、汚職防止の粛清が続いている。
汚職対策委員会による粛清
拘束の容疑は主に、マネー・ロンダリング、贈賄、脅迫、公務職を個人の利益に利用で、法務当局が2年以上も汚職防止捜査を行った結果に基づいている。汚職対策委員会は拘束当事者の国内外の全ての資産を差し押さえ、押収する権限を持っているため、国内外に大きな影響を及ぼす可能性がある。特に、「中東のウォーレン・バフェット」として知られている投資家で、21st Century Fox, Citigroup, Apple, Twitter, News Corpを含む多数の企業の大口株主であるアルワリード・ビン・タラル王子の拘束の影響は大きいとされる。
サウジアラビアの中央銀行に当たるサウジアラビア通貨庁は7日に、拘束されている49名に加え、数十名の銀行口座を凍結、最大で330億ドルの資産がサウジ政府によって押収される可能性があるが、さらに容疑対象を数百人増やしその関係者たちの銀行口座の凍結に動きだした。現時点で1,200以上の個人や企業の銀行口座が凍結されている。この一連の資産凍結は今後、金融市場、サウジ投資先やサウジアラビアにおける海外投資に多大な影響を残すことになる。
レバノンのハリリ首相の突如辞任
汚職防止の一連の粛清が始まったのは、4日にレバノンのサード・アリ・ハリリ首相が突如辞任を表明してからである。ハリリ氏はレバノンとサウジアラビアの二重国籍を持ち、2016年にハリリ氏が率いるスンニ派とシーア派のヒズボラとの連立政府が形成され、ハリリ氏は首相、ヒズボラ支持のミシェル・アウンが大統領となった。
ハリリ氏の辞任表明はムハンマド皇太子との対談直後にリヤドで行われた。中東でのイランの影響力が拡大しているなか、レバノンにおけるヒズボラ勢力と影響力の拡大を批判、暗殺される恐れがあることを理由に辞任を決めたことを述べた。
4日の夜に一連の粛清が決行され、拘束された粛清対象者には以下が含まれている。
粛清と資金凍結がサウジアラビア一国にとどまらず、世界金融への影響は必至とみられる。
Part2へ続く
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