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12月28日にイラン第2の都市マシャドで始まった反政府デモは28日に入ったが沈静化の兆しが見えない。3日目に入って首都テヘランに拡大した反政府の動きに対して、政府は携帯のインターネット接続を遮断して、デモ鎮圧を試みた。
西部地区の都市コラマバード、ザンジャン、アーバズでも数1000人規模のデモ隊が警官隊と衝突し、未確認情報ではドーラド市で数名が死亡している。政府の旅行規制や報道規制のために正確な情報が国外ではつかめていない。これまでのデモの暴徒化や暴動はインターネットを通じて全世界に瞬時に流れたが、政府のネット規制で国内状況を知ることができない。インターネットの遮断という反政府運動の収拾は最終的な手段であり国際的な批判を免れない。
モハメド・アザリ情報通信大臣はSNSをデモ隊が武装して暴徒化する手助けをしているとして強く非難している。保守メデイアがデモ隊がけ警察の車を襲い放火している様子を伝えており、テヘラン大学近くなど一部のデモ隊は暴徒化して警察と衝突していることが明らかになっている。
デモのきっかけはインフレと政府の度重なる経済政策の失敗に向けられていたが、翌日には反政府運動色が濃くなると同時に全国に反政府デモが拡散した。政府が主張するように、反政府デモがSNSによって全国に拡散したとすれば、どのような組織が関与したのか。経済政策の失策と政治汚職への批判が、あっという間に全国的な反政府運動に変わったのはいかにも不自然である。
Updated 01.01.2018
全国に広がった反政府デモのスローガンは同一のものであることから、組織的な反政府運動の関与の可能性がある。また背景にJCPOA(Joint Comprehensive Plan of Action)「包括的共同計画」で米国に譲歩した政府に追加制裁での経済的圧迫への反感も関係していると言われる。
JCPOAはイラン核開発の凍結と制裁解除を交換にして2015年7月14日に米国の他EU3国(英国、ドイツ、フランス)にロシア、中国が加わって締結された最終合意である。イラン側はJCPOAでウラン貯蔵量、遠心分離機数の削減、プルトニウム製造中止、査察受け入れを遵守することを条件に制裁解除を約束するものであった。しかしトランプ政権はイランとの核開発制限の交渉を継続するとし、制裁も完全解除には至っていない。物価高への制裁の影響もある中で対外予算を減らさない政府への批判は強まった。