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サムスンは新年早々、インテルを売上高で抜き去り半導体メーカーで世界首位になった(ガートナー調査結果)。PC市場が冷え込む中でスマホメモリ市場の需要に支えられて、売り上げを前年度比で22%伸ばしたサムスンは2017年度の売上高で、1992年以来半導体メーカートップに君臨してきたインテルに取って代わった。
半導体売上高トップで迎える2018年
2016年のGalaxy Note7のLiイオンバッテリー回収で痛手を受けたサムスンだが、同社が製造する有機EL画面を備えた最新機種はiPhoneXをしのぐハードウエアスペックに仕上がった。これまで3Dメモリを始め革新的な半導体技術を真っ先に投入することで、ハードウエアで先導的なメーカーとして知られる。そのサムスンが世界初のフレキシブル画面スマホのGalaxy Xを市場投入する。
Galaxy X(仮称)は同じモデル名の発売時期ではアップル社のiPhone Xに遅れることとなったが、世界初のフレキシブル画面が特徴である。ドコモが中国メーカー(ZTEコーポレーション)製の2画面型スマホを昨年10月に発表しており、潜在的な大画面スマホの需要に答えるものとして期待が集まる。Galaxy Xの切れ目のない大画面はコンテンツ次第ではスマホの限界を超えるポテンシャルを有している。
サムスンは有機ELデイスプレイで本家の日本を圧倒的な資金力で抜き去った独走態勢にあるデイスプレイメーカーでもある。今回は開発に6年をかけてきたフレキシブル画面スマホGalaxy Xの投入を間近に控えている。Galaxy Xはテイーザー広告によれば、デイスプレイが単に大きいだけでなくコンテンツや機能も新機構を盛り込んだものとなる。
期待度が先行する次世代機
次世代を託した形のGalaxy Xだがこれがサムスンにとって試練となるかもしれない。というのもフレキシブル端末のアイデアそのものは新しいものではなく、Galaxy NoteEdgeの液晶の折り曲げ技術のようにハードウエアの「持続的イノベーション」と言える。ユーザーが次世代端末に望むものが、テイーザー広告が訴える次世代スマート端末だとすれば、新製品への期待は「破壊的イノベーション」へのもので期待度が膨らむ。
サムスンの半導体売上高の堅実な躍進(下図)とインテルの落ち込みで2017年度は第1四半期からトップの入れ替わりは予想されていた。2016年第1四半期にはインテルの売上高はサムスンより40%大きかったが、2016年後半にインテルの売り上げが後退したことでの首位入れ替わりとなった。サムスンの売上高増大は同社の得意とするDRAMとNAND型フラッシュメモリ製品の寄与が大きかった。
Credit: icinsights
深まるサムスングループの闇
サムスングループは韓国最大の財閥で、サムスン半導体はその圧倒的な資金力を背景に、最新スペックの製造工場を次々に建設し、ひたすらシェア拡大に努めてきた(上図)。DRAMとNANDO型フラッシュメモリでは微細化の優位性(スケーリング則)がモノを言う。微細化の流れに沿った新規製造ラインへの投資が売り上げに反映されやすい。かつて日本の半導体メーカーの技術情報がサムスンに流出していた時期があったが、知的財産(人的資源)と資金力の両輪の連携がサムスン躍進を支えた。ただし6兆円市場と言われるプロセッサ市場では相変わらずインテルの王座は揺るぎそうにない。今後、データセンター、IoT、AIの普及が進むため将来性の高いプロセッサ市場で首位が入れ替わる可能性は低い。
最新技術を吸い上げて資金力で製品化することで市場トップに立ったものの、サムスンには暗い影がつきまとうようになった。2015年に韓国政界への癒着が明るみにでると、政治力抜きの企業の真価が問われることになった。Galaxy Xで同社が問われるのは最新デイスプレイ技術でなく、期待が集まるインタラクテイブコンテンツという「創造性」である。その実現は、スマートシテイ構想のような一種の社会実験の領域なので、スマホ製造メーカーや携帯キャリアだけで整備できるものではないが、テイーザーで未来端末のイメージを先行させたサムスンは苦しい立場に置かれている。
インテルのプロセッサバグとインサイダー取り引きの疑惑
一方、2位に陥落したインテルは1月3日、プロセッサにバグが見つかり、ハードウエア対処しないとセキュリテイ脆弱性を引き起こすことがわかった(The Register)。その後GoogleはインテルプロセッサのバグはクローンであるAMD、Armにも存在しセキュリテイ対策で性能が低下する恐れがあることを公表した。Apple、Google、Microsoftなど大手IT企業は対策のためのOSパッチの作成と配布に取り掛かっているが、プロセッサの種類によって脆弱性への対処法が異なるため、解決の見通しは立っていない。
一方、インテルCEOのブライアン・クルザニッチ氏は2017年11月29日に2,400万ドル相当の株式を売却していた。しかしGoogleがインテルへプロセッサバグによるセキュリテイ脆弱性を連絡した後であったため、インサイダー取引の疑惑が深まった。実際、脆弱性が明らかになったことの影響でインテル株は1月3日に3.4&下落したことで、疑惑は濃厚になった(BusinessInsider)。
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