Photo: housingwire
9月30日に米連邦政府予算の2017年会計年度が終了した。政府債務残高は始めて20兆ドルを超え、前年度比で3.4%増の20兆2449億ドルであった。1957年以来、政府債務は60年間毎年増加を続けている。
政府債務が大幅に増加したのはオバマ政権からで、70%以下であった債務残高対GDP比は一気に90%を超え、2016年の2期目終了時には104%まで拡大していった。
議会予算局(CBO)の「2016 年長期予算予測」によると、2046年までに債務残高対GDP比は141%まで上がると警告を出している。しかし、右派寄りの非営利団体のフリーダム・パートナーズの予測では、政府債務は対GDP比で174%まで拡大、その中でも65歳以上を対象とする年金と医療保険(Medicare)は政府予算の半分を占めるようになるとの見通しを出している。
現実に、65歳の人口は増えている一方、年金や医療保険などの基金の積み立て不足が深刻化している。今後、年金と医療保険の負担が大きくなるにつれ、債務は拡大していく。
CBOとフリーダム・パートナーズの債務規模の違いは、政府間債務を含めているかどうかの計算の差である。CBOは年金と医療保険の政府負担が増えることで、増えていく政府間債務を含めていないため、債務残高の拡大の規模とその増加スピードを過小評価、米国が抱えている債務危機の深刻さを分かりにくくしている。
2030年には、債務残高は現在の倍近い37.8兆ドル以上にまで膨れ上がると予想されている。債務上限引き上げ問題は議会でほぼ毎年度政争となっているが、債務を増やすことができるのもアメリカと米ドルの信用が続くことが前提となっている。
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