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香港のATMでの現金引き出しが急増している。香港のメデイアは一度に最大50枚のカードを使用して数十万ドルを引き出すなど、大量の現金を中国本土に移動していると報道している。これを受けて金融当局、銀行業界、警察が捜査に乗り出した。
2017年に本土の銀行カードを使用した毎月の現金引き出し額は20~60億香港ドルであった。中国はここ数年間、国外への資本流出を抑制しようと様々な規制をかけていたが、2018年 1月1日、中国の銀行カードを使用した海外の引き出しを制限することになった。中国の外為規制当局は、最近の流出に向けて、国内の銀行カードを使って年間10万元(~15,815米ドル)、1日に最大1万元を上限とすることになった。
一方今年初めに、マカオのATMの約90%(1,040台)が顔認識技術を含む身分証確認決済を導入した。香港の中央銀行は、こうしたATM引き出しの厳格化は逆に金融センターでの現金引き出しを加速するとしている(ロイター)。実際、顔認識によって現金引き出しが大幅に制限されることとなった。
香港のメディアは、ここ数週間で本土の中国人が複数のATMカードを使用して引き出された多額の現金が、本土に流れたとしている。上限に触れない限り、ATMでの現金引き出しで、大量の現金が中国本土に流入する恐れがあるとして香港金融当局は警戒を強めている。
最近の高額紙幣の禁止措置やATM引き出し上限設定および顔認識技術の導入などの一連の動きは当局が現金流通を規制する思惑を反映したものと言える。なお香港の金融当局はマカオ当局と綿密に連絡を取りつつあることを認めたが、顔認識技術を香港のATMに導入する計画はないとしている。