米軍が戦略爆撃機の空中待機再開を準備

23.10.2017

Photo: newscom

 

米空軍は米ソ冷戦時代(1991年)以来となる戦略爆撃機B52空中待機に向けて準備に入った。これによって緊急離陸に備える滑走路端の専用駐機場にB52戦略爆撃機が常駐し警戒態勢に入る。

 

空軍参謀長は北朝鮮の核実験、長距離弾道ミサイルの脅威で核戦争のリスクが高まった現実に備えるための措置であり、特定目的のためではないし警戒態勢が発動されたわけではないとしている。しかし空中待機のための準備に入っていることは認めた。

 

核攻撃の指令はSTRATCOMが、また北米防衛の指令はNORTHCOMが担当する。空中待機の理由は北朝鮮情勢の急激な展開のほか、トランプ大統領の北朝鮮への圧力とロシアの軍備増強の脅威に備える目的がある。米ソ冷戦時のときには2極に別れた軍事バランスが保たれた。いまは核軍事力が多極化し微妙なバランスで一触即発の時代にあるため、米空軍は想定されるあらゆるシナリオに備える必要があると考えている。

 

 

B52はボーイング社が開発した8発ジェットの大型爆撃機で、太平洋ではアラスカ、グアムに配備されている。大統領命令があれば空中待機のB52、潜水艦のSLBMICBMに発射コードが送信される。しかしB52の空中待機となるとパイロットの勤務の負担、空中給油のコスト、爆撃機の援護戦闘機の運用など多額の臨時予算が必要となる。しかし一方では危機感を煽ることは空軍の狙いであるミニットマンIII400基の更新に追い風となる。結局、北朝鮮のつくりだした第二の多極冷戦状態で大量殺戮兵器の近代化となるならば、空軍にとっては好機となる。