経済的持続性が低すぎるシェールガス発電

16.01.2018

Photo: econews

 

北米を中心にシェール革命と呼ばれるシェールオイル・ガス掘削は急激な増産に結び付き米国をエネルギー輸出国に変換するほどとなった。しかし当初から掘削が環境問題を引き起こし、局所地震など地殻の不安定化を誘発することからその持続性については疑問の声も投げかけられていた。

 

マンチェスター大学の研究チームの最新の研究ではシェールガスは持続性に問題があるため、未来を託すことはできないことが明らかにされた。研究結果はシェールガス発電は9種類のエネルギー源の選択肢の中でも7番目と、もっとも適さない部類に入ることを示した(Cooper et al., Sci. of The Total Environments. 619-620, 804, 2018)。

 

持続性を高めて他の選択肢と競争力を持つには環境への影響を1/329とし雇用を16倍に増やすなど多くの項目で改良が必要となる。エネルギー比率にシェールガス以外の選択肢の発電方法を採用すれば、持続性を高める事ができる。

 

今回の研究は英国におけるシェールガスの持続性について環境負荷と経済的持続性を考慮した初めてのものとなる。エネルギー比率での選択肢として石炭、天然ガス、LNG、太陽光、風力、水力およびバイオマスを取り上げた。研究では気候変動、環境汚染、発電コスト、雇用創出、大衆の支持など全18項目について、選択肢ごとに比較を行った。

 

シェールガス掘削は将来性が高いとされてきたが、研究結果によるとそれは正しい評価ではないという。政府はこれまで安全で将来性すなわち持続性の高いエネルギー源であることを力説して来たが、シェールガスは考察した選択肢のなかでも最低クラス(9種中7番目)となった。シェールガスが天然ガスやLNG(輸入)と競争力を持たせるには環境負荷や経済的持続性を100倍程度、改良する必要がある。事実上不可能な数字である。

 

シェールガスに対するこれまでの評価は主に環境負荷についてのもので、経済的持続性については詳しい研究がない。

 

すでにスコットランドは掘削を禁止しており、英国内でも掘削に反対する意見が高まっている。結局、持続性の観点からエネルギー比率にはシェールガス意外の選択肢を採用するべきである事が明らかになった。政府のエネルギー政策の見直しが迫られる。