超伝導磁石の世界最強磁場を達成

15.12.2017

Credit: National MagLab/Florida State University

 

フロリダ州立大学の強磁場施設(National Magnetic Field Laboratory, National Maglab)はマックスプランク研究所の施設と並んで世界有数の強磁場施設として知られる。このほどNational MagLabは高温超伝導磁石を用いて世界最高強磁場(32T)を達成した。

 

12月8日、新型超伝導磁石はこれまでの記録を33%上回る静的磁場32Tを記録した。静的磁場の記録は飽和状態にありこの磁石の記録は過去40年分の増大に匹敵する。

 

開発された磁石は物性研究に使えるばかりでなく、X線や中性子散乱実験にも応用可能で実用性が高い設計となっている。フロリダ州立大学の研究グループは過去13カ月で、昨年の常伝導磁石での41.4T、直列ハイブリッド磁石での36Tを記録し、強磁場記録の波に乗っている。

 

1986年の高温超伝導発見から31年が経過した今日、今回の磁石で強磁場達成となった。32T磁石はBCS超伝導磁石と高温超伝導体(YBCO)を組み合わせている。研究グループは研究開発を継続して100Tを超える強磁場達成を目指したいとしている。

 

今回開発された32T磁石は安定で磁場均一性が高いことが特徴で、磁場中での精密物性測定に適している。スピンゆらぎによる高温超伝導機構が主流だが、厳密には解明されていない。実用は先行して加速器や医学応用、物性測定には不可欠の存在となっている。