Credit: Seasteading Institute
海上都市の構想の歴史は古く、ドバイ沖の海上都市サバー・アル・アマドを筆頭に多くのプロジェクトがある。中には独立国家を目指すものもあるが、2020年に最初の海上独立国家がタヒチ沖に実現する。
ペイパル創始者のピーター・シール氏が出資するNPO(Seasteading Institute)は数千の海上独立国家を2050年までに創設する計画である。最初の海上独立国家は”Coin offering”(注1)と呼ばれる手法で資金を集める。
(注1)Initial Coin Offering。日本語訳は新規仮想通貨公開で仮想通貨の創設と売買による資金獲得の新しい概念で企業やプロジェクトは株式の発行や借入などに頼らず資金を調達することができる。
2020年までに6000万ドル(日本円で約72億円)を集め、10余りの会場都市を建設する。海上都市は屋根が野菜栽培に使われ建築資材として、現地(タヒチ)の竹、ココナッツの樹木、リサイクル金属・プラスチックが使われる。最大の特徴は政治的・経済的に自立した自治権を持つ独立国家となることで、すでにフランス領ポリネシア政府の認可を受けている。
人口20万人で118の島から構成されるタヒチは海上都市100エーカーの海岸地域を割り当てることを認めた。海面の上昇で埋没する恐れのあるこの地域では海上都市国家は将来の安全保障でもあった。Seasteading Instituteはこの地域に海上都市を建設するための企業”Blue Frontier”を立ち上げて、1.67億ドルと見込まれる最初の海上都市整備の準備を進める。
実現にはフランス政府の認可が必要になるが、海面上昇で埋没リスクを抱えた地域にとってはかけがえのないプロジェクトである。
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