Photo: inkedin
2015年10月のプレスコンファレンスでテスラEVの自動運転機能であるオートパイロットについてイーロン・マスクCEOは次のように述べた。オートパイロットでは運転者から車の運転技術を学ぶことで、いわば所有者が教官となり習熟度が飛躍的に高められる。その際に学習内容が全ての車で共有される、すなわちAIが教え合う、ことで学習能率と知識は飛躍的に高められる。
実際、テスラEVのオートパイロット機能は驚異的に進化している。例えばハイウエイの降り口を間違えた時に運転者が介入して正しい降り口を使うと数週間後には他の車でも修正された情報をもとに正しい降り口を使うようになる。
AIといえども学習が限られているため学習速度は限定されるが、知識を共有することで学習効率を飛躍的に高めルことができる。これは非線形関数の直感的学習に対して指数関数的学習と呼ばれる。20年前の著書”The Law of Accelerating Returns” でクルツウエルが述べたように線型的な学習速度を知的共有で指数関数的な速度にすることができる。
指数関数的学習
このことはAIが自己学習の限界を超えられる潜在能力を有していることを意味する。すなわちAI同士が知識を共有すれば、あっという間に専門家レベルの知識を備えることができる。イノベーションに持続的なものと破壊的なものがあるのと同様に、知的能力向上にも線型的な速度のものと指数関数的なものがある。知識の共有で指数関数的学習がAIの潮流の背景にある。これこそがAIがが指数関数的学習能力を身につける先端テクノロジーだとされる。
しかしAI同士が知識を共有するときに協力的に一方の知識を受け入れる場合や自分の知識に合わないと反抗したり、知識を競い合って獲得しようとすることもあるかもしれない。それでも学習期間なしに知識共有は飛躍的に学習効果を蓄積できるメリットは大きい。
AlphaGo Zeroのインパクト
また経験(データ)を得ることが困難な場合には知識の共有は大きな意味を持つ。グーグルのAlphaGoと呼ばれる碁AIは人間の碁のパターンを学習し人間にも勝つことができたが、より進化したAlphaGo Zeroは人間の試合から学習せずにルールを頼りに自分であらゆるゲームを想定して、自己学習で先輩のAlphaGoを破り最強の碁AIとなったのである。
デジタルツイン
そのようなAIが多数、結合されて知識を共有したらどのような状況になるのだろうか。実際にGEが開発中のデジタルツインは工場や製品などに関わる物理世界の出来事を、そっくりそのままデジタル上にリアルタイムに再現する。デジタル空間に現実のマシン、例えばジェットエンジンなど、を再現すれば、本物が金属疲労で破壊する前に兆候を掴み事故を未然に防ぐことができる。またデジタルツインの時間スケールを進めれば未来(事故)が予測することもできる。世界中にあるジェットエンジンの状態を把握することで、経験(データ)の母体数が増え判断精度が高まる。
自己学習できるようなAIが説毒されて知識を共有することはAIの能力を飛躍的に高める最先端テクノロジーといえる。