フラップのない次世代航空機MAGMA

19.12.2017

Credit: BAE/ Univ. of Manchester

 

英国の航空機製造メーカーBAE Systems社はマンチェスター大学と共同でフラッブの代わりに空気流を使う航空機MAGMAの無人実験機を開発し、飛行試験を完了した。新しい航空機制御の方式は従来の航空機の制御に用いられる機械式のフラップを使用しない初めての試みとなる。

 

フラップは機械式のため機体重量が増え、その故障は墜落につながることが多い。空気流方式では軽量化やメンテが楽になることによる信頼性向上、ステルス能力の向上など多くのメリットがある。

 

MAGMAには主翼内に推進用エンジンで空気を取り込み後端から音速で吹き出して機体の向きを制御するシステムを備える。また推進力となるジェットエンジンの排気流を空気流を吹き付けて、排気も方向を修正する推進ベクタリング(注1)の機能を持つ。

 

(注1)4輪のトルクを独立に制御して自動車の姿勢を保つトルクベクタリングのように、推進力の方向を制御する機構。

 

Credit: BAE

 

BAE社とマンチェスター大学は長期にわたりMAGMAの開発を共同でおこなってきたが、今回は最終段階となる無人機の飛行試験を行ったことで、実用化に目処をつけた。空気流方式の姿勢制御を採用した航空機は軽量化で運動性能が高まり、主翼に可動部分がなくなるため継ぎ目がないなどステルス性も向上するため、次世代の航空機(主に軍用機)への応用が注目されている。また民間機についても軽量で高信頼性の航空機は、エアラインの負担を減らし安全で格安な空の旅が可能となると期待されている。

 

 

米国でも第5世代戦闘機(ステルス戦闘機)の開発がF-22、F-35で一段落すると、F-22の代替えとなるF-X、F/A-18E/Fの代替えとしてのF/A-XXなど第6世代戦闘機構想が動き出した。ここでは無人機を前提として高い運動性能を有する航空機製造が中心課題となる。空気流による姿勢制御はこのために有効となるため、MAGMAの開発成功で開発に弾みがつくものとみられている。