Credi: sciencemag
マクマスター大学とマックスプランク研究所の研究グループは、地球の生命誕生は37-45億年前に隕石が衝突して温暖な池に生命発生の鍵となる元素が供給されたことによるとする研究結果を発表した(Peace et al., PNAS online Aug. 28, 2017)。研究グループは養分を含んだ温かい湿地から転写機能を持つRNAが形成されたことが生命の起源と考えている。
研究グループは天文学、地球科学、化学、生物学的な知見を総合した膨大なデータとシミュレーションによって結論に到達した。温暖な湿地から生命体が誕生したと考える説はダーウインの時代から存在したが、この研究ではシミュレーションを活用してそれを証明したことになる。
生命誕生はまだ地球が形成されてまもない、大陸が陸地となった時代にさかのぼる。オゾン層が太陽の紫外線を遮る環境が形成された後、隕石が生命誕生に必要な元素を地球上に持ち込んだことが生命誕生のきっかけとなった。マクマスター大学の研究グループはマックスプランク研究所の天文学研究者と共同で膨大な情報を入力してシミュレーションを行った。
Credit: MacMaster Univ.
生命誕生の起源はヌクレオチドの要素、RNAの形成であったが、それが隕石からすなわち地球外から持ち込まれたものであった。池の水に溶け込んで乾湿状態を繰り返しながら、分子結合が作られたと考えられている。年月が経つにつれて直鎖が折りたたまれて、引きつけあって複雑な有機体が形成された。最終的には原始的な生命体はずっと後でDNAを形成することになる。それまではRNAしか存在しなかった。
別の説では水蒸気を噴出する温暖な海底で生命が誕生したとしている。シミュレーションによれば生命発生の温床となる池は当時の地球上に数千箇所あり、中でも水蒸気が噴出する場所よりも生命発生に適していたとされる。しかしRNA形成には乾湿サイクルが必要であることから、海底起源説は否定される結果となった。また隕石で地球外から生命体が運ばれたとする説も量的な考察から可能性は低い。