Photo: NICER@NASA
NASAは惑星間の宇宙飛行にX線を使う完全自律型ナビゲーションを提案している。SEXTANTと呼ぶ実験でパルサーからのミリ秒パルスが宇宙空間を時速数千キロで移動する宇宙船の位置を正確にモニターできることが示された。その原理は地球上の移動体位置計測に用いられるGPSと同じである。
NASAのゴダード宇宙センターはパルサーからのX線パルスをGPS衛星の電波信号に置換えて、3D空間上の位置をリアルタイムに計測するシステムを開発した。NASAの惑星間宇宙飛行はDeep-spaceと呼ぶ惑星間の移動の際に重要なナビゲーション技術となる。
SEXTANTでは中性子星の内部を調査するためのNICER計画で開発した52個のSDD(Silicon Drift Diode)X線検出器をそなえたX線望遠鏡システムが用いられた。NICERでは中性子星やパルサーからのX線でこれらの高密度天体が崩壊してブラックホールとなる過程を観測するために、コンパクトな筐体に秋収納されたX線望遠鏡システムがISSに搭載されて宇宙ナビゲーションの実験に用いられた。
実験では4個のパルサーを信号源としてNICERを使ってミリ秒X線パルスを受信してモデルと比較して位置を特定した。地球周回軌道にあるISSの位置を精度16kmで得ることを目標としていたが、実験では最大4.8kmの精度が得られた。地球周回軌道上のGPSの精度ははるかに高い(~1m)が、宇宙空間ナビゲーションにはそこまでの精度は必要ない。最終目標はより小型の専用のX線ナビゲーションシステムの開発にある。木星や土星の衛星への飛行には自律型のX線ナビゲーションが重要な役割を果たすと期待されている。
Credit: NICER@NASA
NASAはDeep-spaceと呼ぶ惑星間宇宙飛行に向けて技術開発を加速している一方で移住に適した惑星の発見に余念がない。火星移住もより適した惑星への本格的な移住への基地とされる。人類の惑星移住は荒唐無稽ではなくなった。着実に進展していることが地球の危機を物語っている。
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