Photo: cancerresearchuk
CDCによれば黒色腫は米国だけで2017年に87,110例が報告されている皮膚癌の一種である。これらの一部は「ほくろ」が変形したものであるが、ほとんどの場合は発生過程が不明であった。コーネル大学の研究グループは癌発現につながる遺伝子変異を研究し、紫外線照射でできるメラニンよりメラニン形成細胞であるメラノサイト(幹細胞)が支配的になると、皮膚癌幹細胞が活発化することをみいだした(Moon et al., Sell Stem Cell online Oct. 12, 2017)。
黒色腫になる遺伝子異常を持つ人が紫外線にさらされなければ支障がないが、外に出て日焼けすると皮膚癌になることが科学的に証明されたことになる。研究では幹細胞の遺伝子変異で黒色腫になることを防ぐ方法も提案している。Hgma2と呼ばれる遺伝子が紫外線照射で皮膚に発現し、メラノサイト幹細胞が毛包から皮膚表面に運ばれてメラニンを放出する。
Credit: cancer.gov
Hgma2遺伝子を持つマウスとそれが除去されたマウスは紫外線を照射して比較すると腫瘍を持つような遺伝子操作を受けてもHgma2遺伝子があると黒色腫を発現するが、Hgma2がないマウスは正常のままであった。
Hgma2により紫外線照射で黒色腫が発現することが明らかになった。今後、このメカニズムのより詳細な知見が集積されれば、皮膚癌をなくすことができると期待されている。
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