厳しくなる感染拡大の防止対策

24.03.2020

 

 新型コロナウイルスの拡大防止の一環として、各政府はあらゆる対策を取っている。日本では感染症対策として国民の協力をお願いしているが、国によっては厳しい措置が行われている。

香港はリストバンドで追跡
 香港は3月19日をもって、新型コロナウイルスの拡大を阻止するために、入国者は検疫を受け、14日間の隔離と経過観察が義務づけられた。個人のスマートホンに繋がる電子リストバンドが付けられ、スマートホンのGPSやアプリ(WeChat, WhatsAppなど)を通じて入国の条件となっている14日間の自己隔離がとられているかを政府が監視できる措置をとっている。

 

 入国の際に個人情報を偽装した場合、5,000HKD(約6万7000円)の罰金と懲役6カ月に課せられる。また、個人が報告した隔離場所から離れた場合、保険当局と警察に通報がある。香港政府は6万個以上のリストバンドを用意して、措置に合意しなければ、入国が拒否される。

 米国では、前歴がある性犯罪者などが
刑期を終えた後に追跡アンクル・ブレスレットの着用が義務付けられているが、この追跡リストバンドはこれまで、病院や高齢者施設で患者の行動を監視するために使われてきた。香港と同じように、米国でもリストバンド追跡措置が検討されている。

イスラエルは携帯ビッグデータで追跡
 イスラエルのネタニヤフ首相は、新型コロナウイルスの封じ込め対策として、感染者が自主隔離処置をとっているか、都市封鎖で外出禁止令が守られているかを確認する目的で、個人の携帯履歴データを活用すると明らかにした。この発表をもって、この措置への賛否両論が起きている。

 

 イスラエル公安庁は当初テロ対策の一環として、携帯情報を含め国民のビッグデータを収集、管理している。政府は携帯履歴データを利用して、新型コロナウイルス感染者が自主隔離をしているか、また感染者と濃厚接触があるかを監視し、濃厚接触があった場合、その場を離れることを警告する。

 個人の権利より国民全体の健康を優先する意見がある一方、携帯履歴は個人情報であり、携帯履歴データを監視するのは個人のプライバシーの侵害、将来「民主主義の死」に繋がると警告する意見もある。この対策の期限が明らかにされていないため、このまま監視社会に進むことが警戒されている。

中国はQRコード活用
 中国では市民の旅行歴や健康状態について、QR健康コードを活用して感染者の行動を監視している。新型コロナウイルス拡大防止の一環として、アリババ・グループのアプリが使われている。QR健康コードには緑、黄色、赤の3色が使われ、移動するには検問所でQRコードを提示する必要がある。緑は行動、移動の自由が可能であるのに対して、黄色と赤では自主隔離、移動が禁止されている。

 個人は、氏名、国民ID番号、現在位置、旅行歴、過去14日間に入院または退院した感染者と接触があったかの情報を入力することでQRコードが取得できる。毎日状況によってQRコードは更新される。

 中国では200以上の都市でQRコードが使われており、公共交通機関の使用、飲食店やショッピングモールなどで使われており、移動するには提示が必要となる。中国政府によって感染者の追跡や監視に活用されている。

シンガポールは追跡アプリ
 「TraceTogether」(一緒に追跡)と呼ばれるアプリを活用して、感染者を監視している。感染者と接触があった場合、警告が発信される。感染者の接触経路の追跡や自主隔離が守られているかの監視に使われている。

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