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オランダ下院選挙の結果、現ルッテ首相率いる中道右派の自由民主党が第1党を維持することとなった。英ファイナショナルタイムズ紙は、「有権者はポピュリストのウィルダース氏の希望を潰した」とオランダにおける「間違った」ポピュリズムの拡大を食い止めたと報道した。
しかし、与党の自由民主党は前回の2012年の選挙より議席数を19.5%減らしたのに対して、ウィルダース氏率いる自由党は議席を33%伸ばしている。本当にポピュリズムが拡大していないとは言い切れない状況にある。
自由党は予想より議席を伸ばせなかったが、それでも第3とから第2と躍進を果たした。与党連立の第2党であった労働党は38議席から9席と大幅に議席を失い、その票が他の政党に散らばったとされる。キリスト教民主勢力は13から19議席、民主66は12から19議席、グリンレフトは4から14議席と大きく伸びた。ここで注目するのが、既存の与党への支持の低下、ウェルダース氏により広まっているポピュリズムの影響で与党の自由民主党がより右派的な姿勢を選挙投票前にとったことである。
トルコとの外交衝突
トルコでは、4月16日に行われる大統領の権限を強化するための憲法改正案についての国民投票前に、エルドアン大統領はオランダのトルコ市民からの支援を集める目的でオランダのトルコ移民が多い地域での集会を開催しようとしていた。だが、12日にロッテルダムでの集会に参加しようとしたトルコ外相はオランダ政府から入国を否定された。オランダ政権は、イスラム圏からの移民問題への世論を無視できないと判断し、選挙前にウィルダース氏に近い移民に厳しい姿勢を見せた。このことが、選挙結果を大きく左右したと思われる。
トルコ移民の政党が初めて議席獲得
今回の選挙で予想外の結果となったのが、新党DENKの3議席獲得である。DENKはオランダ語では「考える」、トルコ語では「平等」を意味する。2人のトルコ移民で創立された政治団体は2016年に政党となり、オランダに住むトルコ移民を代表する党で、トルコのエルドアン政権の支持を表明している。
欧州で初めて誕生したトルコ移民系の政党が議会席を獲得したことは、今後欧州に大きな影響を残すことになる。反移民の運動は拡大を見せていくが、その反面、移民を代表する政党が誕生する可能性があり得ることを証明した結果ともなった。
Source: Wikipedia