Photo: arabianbusiness.com
スイスの高級スキーリゾート地ダボスで、1月17~20日に世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)が開催される。ダボス会議の3,000名の参加者には、世界の大手多国籍企業1,000社から約1,800名のビジネスリーダーの他、世界の指導者、経済人、メディア関係者、セレブが出席する予定である。今年のダボス会議の注目は、 中国の習近平国家主席が中国の国家主席として初めて出席することである。
ダボス会議から生まれた、銀行家・ビジネスリーダー・政治家の「ダボス」ネットワークの参加者で毎年開催されるダボス会議は通称、世界の0.1%の超富裕層、「グローバル・エリート」のための会議とも呼ばれてきた。本年度の議論のテーマは、「俊敏で責任あるリーダーシップ」(Responsive and Responsible Leadership)であるが、中心となるのは既存の政治、社会経済システムに反対する民衆への対応策と思われる。
英国のEU離脱、ドナルド・トランプ大統領の誕生、イタリアの憲法改正への反対によるレンツィ首相の辞任、欧州諸国で極右派政党の支持拡大など2016年は国民がグローバリズムに対する不満と反対を示した年であった。今年予定されているオランダ、フランス、ドイツでの選挙結果では、グローバリズムを推進するダボス会議参加者にとって、既存の社会経済状況が大きく変化し、大きく影響を受ける年といえる。
中国国家主席が初出席
グローバリズムや既存の政治体制に反対するトランプ次期大統領とは異なり中国の習近平国家主席の出席は、中国が米国に代わってグローバルな役割を果たす意向があることを示唆している。市場のより自由化と規制緩和を求める「グローバル・エリート」と保護貿易主義ともいえるMade in China 2025政策を進める中国が注目される。
米国のトランプ次期大統領の参加はない
トランプ次期大統領は選挙期間中、既存のグローバリズムに反対姿勢を示してきた。ダボス会議の最終日と重なるトランプ大統領就任式、トランプ政権からはダボス会議の常連である元ゴードマン・サックス取締役のゲーリー・コーン次期米国家経済会議委員長が出席する予定である。米国を代表して参加するのは、オバマ政権からバイデン副大統領とケリー国務長官となっている。
ドイツのメルケル首相が欠席
ドイツのメルケル首相は、2005年に首相となって過去7回と頻繁にダボス会議に参加している。しかし、去年に続き2年連続でダボス会議を欠席する予定となった。それには、ドイツ国民の反EU、反グローバリズム、反移民政策の高まりがあり、12月にベルリンで起きたトラック突入テロ事件やドイツ連邦総議会選挙を9月に控えていることから、参加を断念したと考えられる。
また出席が予定されていたフランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相、カナダのトルドー首相、ユンケル欧州委員会委員長は欠席を表明している。