ロシアの米国大統領選への関与疑惑の真相 Part 3

23.01.2017

Photo: veteranstoday

 

 オバマ前大統領の任期最後の記者会見(19日)で、ロシアの米国大統領選挙への関与疑惑の論争にあるDNC(民主党全国委員会)のメールハッキングに関して、ロシアが関与した決定的証拠はなく、情報源が内部リークであったことを認めた。

 

 これによりトランプ大統領就任式前の2ヶ月以上に渡り続いた「ロシアの米国大統領選への関与」疑惑騒動は、ウィキリークスのジュリアン・アサンジ氏が指摘してきたように、政府内の反トランプ派によるトランプ氏の大統領としての資格の合法性を否定する動きであったことが明らかとなった。

 

 内部リークと主張してきた英国のクレイグ・マレー前駐ウズベキスタン大使や元NSA幹部で告発者のウィリアム・ベニー氏の他、コンピューター・ウイルス対策ソフトを世界で初めて開発、販売したマカフィー(McAfee)社の創設者で、サイバーセキュリティに関して50年以上の経験をもつ専門家として、ジョン・マカフィー氏もハッキング説を否定してきた。マカフィー氏の見解は、ロシアに向けての怒りを煽る、アメリカの人々を扇動することを意図するプロパガンダであったことを示唆している。

 

 

ベテラン諜報専門家グループによる公開書簡

 諜報機関に長年任務したベテラン諜報専門家たちで形成しているベテラン・インテリジェンス・プロフェッショナルズ・フォー・サニティー(Veteran Intelligence Professionals for Sanity: VIPS)は18日、オバマ大統領にロシア関与の証拠を公表するか、又は任期終了までに関与を否定する声明を出すことを求めていた。

 

VIPSは2003年に米17の諜報機関のベテラン諜報専門家たちで形成された組織で、インテリジェンス情報が政治的に「工作された」情報として使われているか、情報の信憑性を客観的に分析、非難、情報源や証拠の公開を追求する組織で、2003年にインテリジェンス情報を無視し、サダム・フセインは大量破壊兵器を持っているという偽情報がイラク戦争を正当化するために使われたことを批判している。

 

 今回VIPSは、インテリジェンス・コミュニティでは「誰もがハッキングしている」ことが常識で、オバマ政権がロシアを単独にターゲットにしている裏には、政治的な目的があると主張している。オバマ大統領への書簡は、「大統領はアメリカ国民に、ロシアの大統領選関与疑惑に信憑性がないことを伝えるべきである。」としている。オバマ政権の終了でロシアの大統領選挙への関与の疑惑騒動も結末を迎えたが、この書簡を受けてかどうかは不明のままである。