「赤いバンリュー」でフランス難民が暴徒化

13,02.2017

Photo: klewtv.com

 

 難民の不当逮捕に抗議するデモ隊がエスカレートし暴徒化し、投石や車への放火などの危険行為に及んだとして、パリ警察の警官がパリ近郊で2月2日に難民を逮捕した際に逮捕者への性的暴行と3人への暴行の疑いがあるとして、デモ隊は抗議行動をエスカレートし、車やゴミ箱に放火するなどの行為を行なった。

 

 デモが暴徒化したボビニー(Bobigny)はパリから約3kmの人口5万人弱のイル・ド・フランス地域圏の都市。メトロでパリと結ばれている小都市で人口が急増したため社会施設、住宅が整備された。フランス語で郊外を意味するバンリュー(Banlieue)には移民が多い公営住宅地帯であることが多く、ボビニーもその一つである。

 

 バンリューの低所得帯公営住宅には旧植民地(アルジェリア、モロッコ、)サハラ砂漠の南)から移民労働者が住み、犯罪率が高くドラッグ取引で社会問題化している。中でも暴動が起きたボビニーは「赤いバンリュー」と呼ばれるフランス共産党が強い地域で市長以下の役職を共産党が独占している。アメリカのブラック・ゲットーに比較されるバンリューはフランスが抱える移民問題の典型で、社会への憎悪が高く暴徒化する危険が高くなった。

 

 

Credit: appart-city-bobigny-hotel.booked

 

 2,000人余りのデモ隊は逮捕者を支援する平和なデモ行進を行っていたのは2005年に北アフリカ出身の若者3人が警察に終われ逃げ込んだ発電所で3人が感電死したことをきっかけにして、フランスの若者が起こした暴動がフランス全土のバンリューに拡大した。暴動の起きた場所であった。この時には10月27日から11月17日まで暴動状態が3週間も続き、数千台の車と300件の建物が放火されている。

 

 なお同日にはマルセイユで不当逮捕された難民を支援するデモ隊と警官隊と衝突し4人の逮捕者が出ている。難民に対する警察の対応もエスカレートしパリ市内では難民への警官の嫌がらせも起きている。憎悪が憎悪を呼び何らかのきっかけでバンリューが暴徒化すれば一気に全土に広がりかねない。しかしその背景には植民地政策と「フランスで生まれればフランス人」という寛容な人種多様化に寛容な政策がある。

 

 映画「アルテイメット」(原題Banlieue 13)は2004年のバンリューで育った若者と潜入捜査官がギャングに立ち向かうアクション映画で制作・脚本はリュック・ベンソン。暴動が起きたのは作品が制作された1年後の2005年であった。

 

 

Photo credit: Banlieu 13

Source: mtv2day.info