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世界中でナショナリズムの台頭が再起しているなか、「グローバリズムの父」、「世界の支配者」と呼ばれ、「新世界秩序」の実現を生涯追求したデヴィッド・ロックフェラー氏が20日101歳で死去した。
デヴィッド・ロックフェラー氏は、1870年に米石油会社のスタンダード・オイル・アンド・カンパニー(後にエクソンモービル)の創業者のジョン・D・ロックフェラーの最後に生き残った孫で、大手銀行チェース・マンハッタン(現JPモルガン・チェース)の最高経営責任者などを務めた。
「新世界秩序」を目指した活動
1947年にカーネギー国際平和基金の取締役となる。
1949年にアメリカの対外政策に多大な影響力を持つ、シンクタンクの外交問題評議会(Council on Foreign Relations: CFR)の理事長となり、その後名誉会長を務める。
1954年にビルダーバーグ会議の設立に貢献、運営委員会の委員長としてビルダーバーグ会議の政策方向性に影響を与える。
1964年に発展途上国での民間大企業の活動を推進する国際経営奉仕部隊(International Executive Service Corps: IESC)を設立。
1965年に自由貿易と民間企業の経済協力といった政治経済の一本化を推進するラテンアメリカ協会(Council of Americas)を設立する。
1973年に日米欧三極委員会(Trilateral Commission)を設立する。それまで、日本の企業、財界、政権高官の参加が否定されていたビルダーバーグ会議の代わりとなる日本を含む政策協議会となる。
1992年に「西半球自由貿易地域」の設立を提案、後に米州自由貿易地域に発展する。
自叙伝とも言える「ロックフェラー回願録」のなかでは、政治と経済を一体化した世界的に統合された「ワンワールド」を望んできた自身を「誇り高い国際資本家」とした。過去の主権国家より知的エリートとグローバルな銀行家たちで形成される超国家システムを実装しようとした。そのためには、金融面だけでなく、外交政策でも大きな影響を行使できるグローバルな政治経済の一体化した枠組みを形成するための数多くの組織を作ったことで名を残した。