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年間600万人以上の人が訪れるバチカン美術館は、ルーブル美術館とともに世界で最も混雑している観光スポットの一つである。入場料は大人1人が16ユーロ(約1840円)で、支払い方法には従来の現金とクレジットカードの他、このほど「献血支払いプラン」が新しく加わった。
ローマにあるGemelli大学病院、献血グループFrancesco Oligiatiとバチカン美術館の提携で始まった「献血支払いプラン」では、1回の献血で4ユーロの引き換え券を受け取る。献血の方法のみで入場するには、計4回献血をしなければならない。
一回の献血で標準的に1パイントが取られるため、計4回の献血、およそ2リットルを提供しなければならない。言い換えれば、バチカン美術館での鑑賞に、人間全血液量の約34%を献血することになる。ちなみに1パイントは英国では0.568リットル、米国では0.473リットルである。
「血液がなければ生命はない。芸術がなければ人生は意味のない、悲しいものとなる」と述べるバチカン美術館館長。一回の献血(注1)と残りを現金支払いでも可能で、献血をすることでの社会貢献に加え、列(注2)に並ばないで美術館に入場できる。美術館長の献血者への優遇制度は芸術の価値は生命同様に崇高なものであることを強調した結果かもしれない。このニュースは世界各国のネットやメデイアで取り上げられた。
(注1)売血が合法の国はアメリカ、中国、ドイツ、ロシアの4カ国、他の国では献血である。
(注2)ローマが観光客で溢れかえる夏場のバチカン美術館の入場は行列が周囲を取り囲む(下の写真)。