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米国を牽制する北朝鮮
北朝鮮情勢が緊迫するなか、北朝鮮のHan Song-ryol副外相は、17日のBBC インタービューで「北朝鮮は今後、毎週、毎月、毎年ミサイル実験を行う予定である」、もし米国が軍事行動をとれば、「全面戦争」になると述べた。「もし、米国が軍事攻撃を計画しているのであれば、我々のスタイルと方法で先制の核攻撃を実行する。」「朝鮮半島で核戦争が何時起きてもおかしくない」と警告を発した。
14日の米CBSインタービューでも、北朝鮮は米国に対して核兵器を使う、「もし、米国が危険な軍事行動を選択すれば、我々は先制攻撃で対応する。これは戦争である。」「朝鮮半島の状況は悪循環に入った」と述べた。表現上は一触即発のイメージだが、米海軍の主力はまだ朝鮮半島周辺水域には到着していない。したがって現時点(04.18.2017 16:00JST)での米国の全面先制攻撃はない。
米原子力空母カール・ビンソンの現在位置
米太平洋軍司令官のハリー・ハリスは、8日に原子力空母カール・ビンソン(USS Carl Vinson, CVN-70)を中心とする第1空母打撃群を朝鮮半島近海に北上することを命じた。3月の米韓合同軍事演習を終え、カール・ビンソンは寄港先のシンガポールからオーストラリアに向かっていた途上で北上が命じられた。
米空母が朝鮮近海に配置され、北朝鮮への攻撃が何時始まってもおかしくないとする報道が飛び交わっているが、その位置情報はこれまで公表されてこなかった。カール・ビンソンの現在位置に関して海軍は15日に初めて情報を公開した。その発表によると、カール・ビンソンは15日時点でインドネシアのスマトラ島とジャバ島との間にあるスンダ海峡(朝鮮半島から3,500マイル、約5,600km)を通過中、朝鮮近海に到着するのは来週の25日前後と予想される。すでに朝鮮半島沖合に到達したとする一部の報道は正しくない。
一度シンガポールに戻ったカール・ビンソンは8日に出港。オーストラリア寄港の予定を変更したが、朝鮮半島近海に直行せず、予定通りオーストラリア軍との合同演習に参加したことで、朝鮮半島近海への到着が25日前後となった。
米原子力空母ロナルド・レーガンとニミッツの動向
米軍横須賀港に入港中の米原子力空母ロナルド・レーガン(CVN-76)と航空母艦のニミッツ(CVN-68)も朝鮮近海の軍事作戦区域に配備されることになった。ロナルド・レーガンは5月まで定期メンテナンスと修理に入っており、その後も軍事作戦を行うまでの検査・調整期間が必要となるため、5月中の出向は困難とみられる。サンデイエゴを母港とするニミッツは南カリフォルニア州近海で、これまで西太平洋区域に配備されているカール・ビンソンと交代する前の訓練を行っている。
大型空母の配置換えと攻撃準備には簡単ではない。周辺海域に展開が完了し攻撃準備が整うのは25日以降になる。米朝・米中の水面下での駆け引きが来週以降激しくなるとみられる。短期解決が望めない場合は5月中旬にカール・ビンソンが他空母と交代して朝鮮半島への空母配備を継続する可能性もある。