英国癌研究所、ケンブリッジ大学、ダブリン大学の研究チームがこのほど有糸分裂時にBuBR1と呼ばれる酵素蛋白が癌細胞の細胞分裂時に攻撃して破壊することを発見した。BuBR1分子が染色体を複製して細胞分裂した細胞が未熟な状態に置かれ死滅することを見出した(Molecular CellDecember 8, 2016)。
2016年10月28日、中国人医師チームによってCRISP―Cas9と呼ばれる遺伝子編集を受けた遺伝子が世界で初めて人間に注入された。ペンシルバニア大チームの遺伝子編集技術を開発したあと、米国と中国の研究者らの熾烈な競争が続いていたが、世界初となる人間での試験は中国の研究チームによるものであった(Nature News 15 Nov. 2016)。
米国で動物に対して行われている「DNA配列の編集」が世界で初めてヒトDNAに対しても認可される。このほどNIHは細菌を利用したDNA編集ツールCRISPR(注1)の癌治療を目的としたヒトDNAへの適用を認めた。これにより将来ヒトの免疫細胞が癌細胞を標的とした攻撃(免疫療法)が有効に行えるようになると期待されている。
ヒトの遺伝子をあたかも化学物質のように、合成しようとする研究を目指す研究者たちがいる計画はまだ検討中の段階であるが、DNA配列を変更できれば不利な体質や体の欠点を克服できることになる。人間が人為的な進化を遂げるともいえる行為がハーバードメデイカルスクールで秘密裏に限られた約150名の研究者たちによって検討されている。
テンプル大学の研究グループは人間のDNAからHIVウイルスを完全に駆逐できることを発表した。抗レトロウイルス薬がHIV治療に効果がある。しかし投与を止めた患者はHIV症状を再発する理由はHIVウイルスが免疫性を弱め、最後に免疫性が機能不全に陥ることでAIDSを発症させることが問題であった。