オリオン宇宙船が2021年に有人で月周回

13.02.2017

Credit: NASA

 

オリオン宇宙船は当初NASAがスペースシャトル代替え有人宇宙船として計画していたが、金融危機後に計画が中止された。計画はISS用に縮小さて復活しロッキード・マーチン社で開発中であったが、2013年に欧州宇宙局(ESA)がオリオン計画に参画し、エアバス社が補給機モジュールを担当することになった。

 

オリオン宇宙船は4名の乗員モジュールと補給機モジュールから構成され、乗員モジュールは再利用をめざしている。シャトルのような完全な再利用方式を諦め、司令船のみを再利用とした経緯にはスペースシャトルの2度の事故により完全再利用の安全性が懸念されたためである。オリオン宇宙船は上の写真のようにアポロ司令船に似た形状であるが、乗員の安全性と快適性が大幅に向上している。

 

 

Credit: NASA

 

2017年12月に予定されている宇宙飛行の試験を経ていよいよ、1972年以来となる地球周回低高度軌道を離れて宇宙空間に乗り出すミッションが始まる。最初に予定されているのは上に示す月周回軌道と月を越えた長距離飛行となるが、最終目的は火星や小惑星への有人飛行である。オリオン宇宙船のミッションは2018年に予定されている無人での月周回軌道飛行(EM-2)と早ければ2021年の有人での月楕円軌道の飛行(EM-2)(下図)となる。

 

 

Credit: NASA

 

欧州宇宙局とエアバス社はすでに補給機モジュールと推進ロケットを完成し米国に運び入れている。EM-2ミッションはケープケネデイ宇宙船ンターから早ければ2012年に宇宙飛行士を乗せて打ち上げられる。NASAはISSへの物資補給を商業軌道輸送サービス(COTS)により、民間に委託したためスペースX社がISSへの物資・人員輸送のためのドラゴン宇宙船と再利用可能なファルコンロケットを開発している。これによりオリオン宇宙船の当初の役割がISS補給から月(火星)有人飛行を含む惑星探査へ変更された、欧州宇宙局とNASAの協力関係も密接になり、長距離有人飛行を両者が連携して行う体制ができた。

 

しかしスペースX社は独自に火星飛行用のレッド・ドラゴン宇宙船も開発しており火星飛行ミッションはNASA-ESAとスペースX社が目指している。しかしスペースX社の火星移住計画は支援するとしているので、両者の火星飛行ミッションは協力関係にある。またスペースX社は火星での100万人が住む都市建設を目指し、10年以内にまず100人の移住者を送り込む計画である。

 

 

 

一方でオランダの火星への移住を行うNPO、マーズ・ワンも2025年までに移住を開始する計画である。2021年にドラゴン宇宙船が月周回楕円軌道に友人を送り込むことで人類は2020年代に惑星に到達し、移住を開始することが現実になるかもしれない。