Source: NASA
2016年の平均気温が過去平均から外れていることで地球温暖化が早まった証拠とするのは早計である。長周期的には太陽活動の減少による寒冷化に向かっており、より短期的(2015-2016年)にはエルニーニョ現象による効果の寄与が大きいからだ。実際、エルニーニョ現象のピークが過ぎてからは平均気温も過去平均に向かって収束している。
異常気象や海面上昇、極地の氷床の減少や亀裂までなんでも地球温暖化に結びつけ、排出ガス規制に向かわせる枠組みが進行しているが、温暖化説の不都合な真実が次々と明らかになりつつある。増大する大気圏のCO2濃度だが実際に地球表面気温を左右するのは太陽活動であり、長周期の寒冷化を相殺することはできない。
下図にあるNINO3海域(注1)での海面水温度(SST:Sea Surface Temperature)の変化もエルニーニョ現象が弱くなると水温異常も正常レベルに戻るがこれは地球温暖化では説明できない。2016年のエルニーニョ現象による気温異常は1998年の規模を上回るものではない。
(注1)赤道直下の太洋を監視海域(NINO.3、NINO.WEST、IOBW)に分けて海面水温度を観測している。太平洋海域のNINO.3がエルニーニョ監視海域になる。基準値は、その年の30年前から前年までの30年間の各月の平均値である。
Source: Australian Government Bureau of Meteorology
地球温暖化説は2100年までに平均気温が2-4.5C上昇するとしている。もしそうであれば年間で0.2-0.45Cの上昇傾向が継続することになり、2016年のエルニーニョによるピークが1998年のピーク(注2)に比べて、0.4-0.8C高くなるはずである。以下に示すように現実はそうでない。明らかに地球温暖化説が破綻しているが、地球モデルの予測誤差を考えれば不思議ではない。
(注2)1997-1998年のエルニーニョ現象は20世紀最強とされる。NINO.3の海面水温の数値データに顕著な異常が存在する。一部の海域では海面水温が5Cも上昇し世界的な干ばつ・洪水の被害を出した。
Source: notrickzone
IPCCの気候予測モデルは2001-2016年の衛星観測値より過大評価している。IPCCの地球気温の予測値は1990年、2001年と現象しているが、複雑系である地球モデルの精密化は困難で予測モデルの誤差が大きい。
地球気温を左右するのは太陽輻射であり太陽活動の長期変動、大気圏、地球環境を全て取り込まなければ地球モデルでの予測の現実度は低い。太陽活動の長周期変動にエルニーニョ現象の短周期変動を取り込んで、地球気温変動を理解しなければならない。もちろんモデル予測と現実の矛盾に気がついたならモデルの精度を上げる必要がある。