2018年から導入が始まるレジロボ

19.04.2017

Photo: asia.nikkei

 

日本の一部のスーパーでは部分的あるいは全自動精算システムが導入されている。前者はバーコードを読み取り精算するところは係員任せ、請求に対して支払いを済ませるところだけ自動化したもの。メリットは生鮮品などバーコード管理ができない品物でも、入力間違いがない。後者は客がバーコードを読み取り装置にかざして、精算し支払いも済ませるもの。セルフ精算機として知られるこれらのシステムが目の前に現れても、若い世代は何事もなかったように、レーンに並ぶ。

 

セルフ精算機先進国である日本のメーカー(Panasonic)がレジロボ(全自動精算システム)を開発した。これは自分でバーコードを読み取らせる全自動セルフ精算機の進化形で、バーコードの代わりにRFタグを商品に貼り付け、RFで読み取る操作をロボットが行い、客は買い物かごをレジに置くだけで良い。

 

RFタグは一部の小売店に導入されている技術で、IoTの一環として急成長が見込まれる。セルフ精算機も導入が進んでいることから、これらの技術を連携したロボット化の機は熟していた。ローソンとPnasonicはレジロボの実験をすでに行なっている。

 

 

レジに買い物かごを置くと底が開いて商品がレジ下部に落ち込み、RFタグを読み込んで精算結果をリストアップするので、確認して支払いとなる。支払い機能はすでにセルフ精算機で実用化されているので、全自動システムは渋滞解消として店側にも客側にも歓迎されるだろう。空港の自動チェックイン機でも読み込みエラーが発生するから、現実には補助する職員が必要になるがレジロボは雇用の面の大きな変革につながるとみられる。

 

レジロボは大手4系列のスーパー主要店舗に2018年度から導入され、2025年までには全店舗への導入される。客の至便性の他、RFタグの利用により高い鮮度での生鮮食品の管理が可能になるので食の安全性が高まる。また生産地やGM食品かどうかの確認ができることもメリットのひとつである。

 

 

精算作業のロボット化は世界的な傾向でアマゾンがシアトルに開業予定の生鮮食料品店にも同様な機能のレジロボが稼働する予定である。この場合は顔認識システムと併用して客は個人情報をあらかじめ登録しておき、商品を清算する際に本人認識後、そのまま店を出ることができる。Panasonicのシステムがすごいのはセルフ精算機で確立されている現金支払いができることである。

 

そういえば米国では30年前から大型スーパーにはエクスプレスと呼ばれる特別のレジがあり、品物の数が少ない場合は列に並ばなくても良いシステムがあった。またカープールレーンを使えば渋滞知らずでドライブができる。こうした差別化は日本では普及しないが、レジ混雑解消と食の安全でレジロボは受け入れられるのではないだろうか。

Credit: universalrfid

 

RFタグは製品に貼り付けられるRF送信チップである。タグを起動するのは読み取り装置からのRF信号。RFタグは受信すると情報を読み取り装置(レジロボ)に送信する。レジロボが情報を管理システムに送信する一種のローカルIoTである。電源が備わっていて自分から電波を発信するアクテイブ型と電源を有しないパッシブ型がある。パッシブ型では読み取り装置から送信電波を電源として使う。送信電波はそのため低出力だが小型軽量で簡単に製品に貼り付けられる。

 

原理的にはセンサーと組み合わせれば、生鮮食料品の鮮度(水分)を送信して鮮度を保ったり、温度をモニターして一定に保つなど環境管理にも使うことができる。しかしもっとも顧客にとって重要な機能は買う前に製品情報(生産地、農薬の種類、GMO仕様の有無、収穫日など)を確認できること。入店時に携帯情報端末を持たせて客は製品に近づいて製品の情報を確認できれば、食の安全性は格段に向上する。

 

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