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アップル社の次の市場はグーグルが2013年に目指して果たせなかった眼鏡端末かもしれない。最近のポケモンGOのヒットを作り出した技術との類似性から、この新製品の方向性は受け入れられる可能性があるが、アップル社がITガジェットのトレンドセッターではなくなったことは隠せない事実である。
2004年から躍進を続けてきたアップル社が4四半期に渡り連続して売り上げが低迷したのは15年ぶりとなる。アップル社が新規製品市場を模索しながら成功を収めてきたのは今に始まった事ではない。デジタル情報を現実(視野)と融合して表示する新しいガジェット市場に興味を持つのは自然な流れであった。
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一連のマックPC製品を築くきっかけとなったマッッキントッシュはもともとはゼロックス社の開発プロジェクト(Lisa)であった。iPod以前にはSONYの携帯音楽プレイヤーがあったし、iPadの前にタブレットPCが、またiPhone以前にもスマートフォンはあった。
これらの原型に比べてアップル社の製品が優れていたのは「圧倒的な使いやすさ」である。アップル・マジックとも呼ばれるIT技術で製品原型を洗練して市場に送り出すことで、新しいITガジェット市場のトレンドセッターとなっていく。
アップル社の収益の筆頭はiPodとマックPCであったが、今はiPhoneが63%を占める。CEOがジョブスからテイム・クックに変わって、5年たった。アップルウオッチがヒットになる見込みがない現在、アップル社が次のアイデアを新製品に結びつけ再び人々に受け入れられる日が来るのだろうか。
新型モデルにスマートフォンカメラが向上し、指紋センサーなど新機構を備えているとはいえアップル社がトレンドセッターでなくなったことだけは確かなようだ。クックCEOがTV業界の改革を呼びかけているがNetfix社やスマートフォンの動画で画期的な変化が訪れており、アップルTVが先頭にいるわけではない。
アップル社は車の自動運転ソフト開発にも取り組んでいるが、ここでも先駆者であるグーグル、ユーバー、テスラ社などの競争相手と差別化ができているわけではない。6年前にSiri社を買収して音声ガイダンスアプリに先鞭をつけたが、その後アマゾン、グーグル、マイクロソフトに追いつかれた。
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眼鏡端末で拡張現実(Augmented reality)に踏み込むアイデアはすでにマイクロソフト社がHoloLens(上の写真)で試行している技術であり、一部はポケモンGOで使われている。スナップチャット系列会社の考える眼鏡端末(Spectacles)(下の写真)はウエアラブルPCではないにせよ、目指すものは同じである。
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世界最高のオフイスビルを目指してクパチーノに建設中のドーナッツ型本社ビル(アップル・キャンパス)の完成も近い。今後の展開に期待したいところだが、トレンドセッターではなくなった事実が重くのしかかかる。アップル・キャンパスの建設状況はYouTubeに定期的にアップされている。
随所に快適な作業空間のための環境づくりのアイデアが見られる。クックCEOによれば過去3年間に渡り倍増させている開発投資は次に来る「革命的な」新製品開発のためだと言う。しかし革新的なアイデアが快適なオフイス環境から生まれるかどうかはわからない。