地球温暖化を誇張するNOAAの報告書

07.02.2017

Credit: NOAA

 

トランプ大統領はこれまでの政権の気候温暖化対策を大幅に見直している。またこれまで3万名を超える科学者が温室効果による平均気温上昇についおて懐疑的あるいは否定的な立場をとっている。目標が一段と厳しくなったパリ議定書の排出ガス規制は世界各国に重くのしかかり、経済成長の足かせになっている中で、中国と並んで温室ガス排出量の大半を占める米国の政策変更が話題になっている。

 

地球温暖化に関する信憑性が薄れつつある中で、地球環境データを世界規模で収集し整理して公表しているNOAA(米国海洋大気庁)が国連主催で2015年にパリで開催された気候会議で温暖化を誇張する虚偽の報告書を作成したとの内部告白があった。

 

「1998年から温暖化が停滞あるいは減速した事実はない」としたNOAA報告書は2015年のパリ国際会議に向けて刊行され、地球温暖化シナリオを印象付けるのに一役買った。NOAA上層部の科学者がこの報告書が誤った未確認データに基づいたもので、誤解を生むと同時にNOAAの正規な手続きを経ないで公開されたことを認めた。

 

この事実は過去の政権の環境政策を見直すことを明言したトランプ大統領の新政策に大きく影響するとみられる。温暖化の減速がないことを強調したNOAA報告書は会議に集まったカナダ首相、英国首相らの世界の指導者達に温暖化シナリオを印象付け、米国、英国、EUの協調した動きにつながった。

 

2009年には国連が主催した気候サミット直前に発覚した「クライメートゲート」騒動では科学者がデータを捏造あるいは都合の悪いデータを隠匿したことが明らかになっている。具体的には新しく加わった陸地と大洋の表面温度の衛星データに問題があった。NOAAは公開してから18カ月ごに海洋表面温度(SST)が温度上昇速度を過大評価しているとして、差し替えることを決めた。また陸地表面温度データも解析ソフトのバグで結果が信頼性を欠くことも認めた。本来なら最終公開データに至るには初版が一連の作業を経て正しい解析と信頼性が検証されるがその過程を経ずに公開されていた。

 

現在でも修正後のデータはNOAAアーカイブで公開されていないため、NOAA以外の科学者が検証することができていない。結果をまとめた論文(Science 26 June 2015: Vol. 348 no. 6242 pp. 1469-1472)には42件のコメントが寄せられたがErrataは出ていない。論文は1998年から2012年の期間の温暖化が減速したとするIPCCの見解は正しくないとしている。

 

 

Credit: Science

 

図に見られる1998年以降の上昇が新しい解析によって僅かに増大したことが争点だが今回の告白はその「新しいデータの解析」に問題があったことを示唆している。温室効果ガスの濃度は上昇を続けているため温暖化が減速することは温暖化説に大きなダメージを与える。下のグラフで各国の気象予報機関のデータを比較すると気象庁のデータが最も低くNOAAデータが最も高い。仮に前者が信頼できるならば確かに1998年からの温暖化速度は減少傾向にある。

 

 

Source: theresilientearth.com

 

地球温暖化説の根拠となる地球の表面温度は大洋と陸地で異なり、都市部やエルニーニョ現象の影響を受けやすい地域がある。平均気温の算出には任意性が高くなり使われたデータ(観測地点)の地域的な分布に大きく依存することになる。NOAAの論文とデータの不適当な扱いは温暖化が温室ガス濃度増大と矛盾しないようにねじ曲げられたことを示している。