米国の変貌ーPart3 Conneticut

 

 コネチカット州は全米では下から3番目の面積の州である。しかしその住民には1%富裕層が相当数含まれるだろう。

 

 ニューヨーク州の北隣で昔からロングアイランドとゆかりが深く、今でもその名残はフェリー定期便がコネチカットとロングアイランドを頻繁に往復している。70年代のロックフェRスで有名なWoodstockも近い。

 

 ホームステイ先のアメリカ人が不動産業であったため、よく売りに出されている高級住宅をみせてもらった。コネチカットにはニューヨークに本拠を持つ富裕層が別荘を持ったり、都会の喧噪をさけて緩やかなアパラチアの丘陵をバックに居をかまえる。

 

 次第にニューヨークから本社をコネチカットに移す企業が増え、コネチカットの都市部、ハートフォード、ブリッジポート、ニューヘブンなどは金融、保険関係の高層ビルが立ち並ぶようになった。(注)

 

(注)あとでわかったことだがハートフォードは保険業種が古くから栄えていて古くから金融、保険業は活発な地盤があったようだ。そのためか一人あたり年収は全米一である。

 

 交通量も増えて昔は上の写真のように自然が家々を囲んでいたが、都市部ではニューヨークのようになってしまった。1970年代後半の話である。

 

 そのアメリカ人がいうにはここでは若い世代は家を持つことはできなくなったということだ。サブプライム以前は若い世代が家を購入する際にはローンを組むが、その際に抵当に何かをいれなくてはならない。それができない、のだそうだ。

 

 教えてもらってコネチカットの富裕層の住宅は一目でわかるようになった。平地ではなく丘や茂み、木立が周りを取り囲むように建てるのだ。

 

 ニューヨークからコネチカットに行くにはI95を北上するだけだが、この道路がニューヨークに近い部分は当時は荒れていて(これは当時の社会サービスが最悪だったニューヨークを考えれば納得がいく)、穴ぼこだらけに100km/hで突っ込むと車が吹っ飛びそうになったものだ。

 

 そのコネチカットの人口の大半は海に面したニューヘブン周辺に集まっているのだが、そこから離れた自然が保たれていた街ウイルトンも交通量が増え、都会の喧噪が押し寄せている。米国の人口は筆者の遠い記憶の2億からいまや3億に近づいている。それにともない開発が進んでしまったようだが、私にとってはコネチカットの環境が忘れられない。記憶の中の米国はもうそこにはない、と思った。