トレーラーハウスは眩しかった

 

 1970年代後半のアメリカでトレーラーハウスというと二通り考えられる。ひとつは遊休地につくられたトTレーラーパークに集まって文字通り、住んでいる住居を持たない人たち。リーマンショックを引き起こしたサブプライムローンの餌食となった人たちだ。

 

 もうひとつはアウトドア派の引退組もしくはお金に余裕がある人たちであるが、いまでいう1%ではない。

 

 両者を区別するのは簡単だ。前者は動き回る頻度は少ないのとトレーラーパークでひっそりと暮らし、そのトレーラーハウスはサイズこそ同じだが、住宅然としている。

 

 一方、後者はハイウエイを動き回り、遠くからでも目立つ。流線型をしていて外側がステンレスでできているので、太陽を反射して眩しい。西部の灼熱の日差しから守るためには適しているのだろう。

 

 こういうステンレスのトレーラーハウスを頻繁に目にするのはやはり西部が多い。当時はアウトドア派にとってはあこがれの装備であった。観光地のトレーラーパークには居住者はいないので、安心して停車して快適な宿泊が出来る上に、翌日は早起きしてハンテイングやトレッキングで自然に浸れるのだ。

 

 1970年代後半には国立公園も整備が行き届き、こうした豪華なトレーラーハウスで全米の国立公園を訪れる引退夫婦が多かった。

 

 彼らは話をきけば驚異的な距離をドライブして来たという、暇もお金もあるらしい。このステンレスのチューブ状のトレーラーハウスはすっかりみかけなくなったが、使い道はあるのではないかと思った。

 

 快適性からいえば仮設住宅の比ではない。大量生産して快適な避難生活をさせてあげられないだろうか。

 

 なおキャンピングカーも盛んであったが、トレーラーハウスは設置したら比較にならないほど落ち着ける。立派な住居である。サブプライムよりよっぽどこちらの方が賢い選択だった。