T-ボーンステーキといえばフイレンツェ派とアメリカ派に分かれるだろう。確かにフイレンツで味わったT-ボーンステーキは脳裏に焼き付くインパクトがあった。それが最高だ、という人に異論は全くない。
さてT字形の骨をはさんで片側にヒレ,片側にサーロインを味わえるのはTボーンステーキの醍醐味であるが、昔の人たちは食後に残ったTの形の骨を引っ張り合って、運試しをしたそうだ。
レストランでは標準が1ポンド=450gだ。これより少ないと小食とみなされる。テキサスではステーキの重さを前者はカウガール、1ポンドの標準をカウボーイと称して出しているところがある。
醍醐味を味わうなら是非、1ポンドを注文して欲しい。フイレンツェの一流レストランでこれを注文してもさほど高くはない。神戸ステーキの値段は世界中旅してもあきれるほど高い。
あいにく私はステーキに霜降りは適さないと思うので、Tボーンステーキ1ポンドでほとんどの場合、満足している。もちろんグリルがいちばんである。
Tボーンステーキは厚みがあるため、表面を焼いてからバターを塗り、上のようなスモークマシーンでゆっくり火を通すと、中はジューシーで表面はいかにも食べたくなる色に焦げる。
昔のアメリカの家庭では庭の芝生にグリルがありチャコールに着火するのは夫の重大任務であった。
最近では庭先のグリルにガス配管がなされていて、キッチンでスイッチをひねるとガスバーナーが点火し、頃合いを見計らって肉を運べばすぐ焼き始められる。
しかしワイワイ騒ぎながら着火に成功するまで、皆が注目する「着火の儀式」を懐かしいと思っているのではないか。
着火の大役がなくなった夫は楽になったが、何か物足りなさそうだ。
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