キャノンやクラリオといったインクジェットプリンターのビジネスモデルを私はジレット商法と呼んでいる。
ジレットは使い捨てひげ剃りシステムのパイオニアだ。本体の値段を抑えてできるだけ買い易くする。替え刃は高く売る。もちろん本体にはおまけ感覚で1本だけ替え刃をいれておかないと顧客から苦情が来る。
最初の1本を使い切ると顧客は選択を迫られる。高い替え刃を買いジレットにもどるか、本体を捨ててシェーバーにもどるかである。替え刃の値段には本体の販売で赤字になった分が上乗せしてあるから高いのである。替え刃が売れることで失われた利益がもどるばかりか将来の稼ぎに事欠かなくなるのである。
さてキャノンプリンターは1年ほど使うと謎のエラーコード6C10(世界共通)が出て使用できなくなる。これは通称、死のメッセージと呼ばれるもので、いくつか別の理由で発生するがとにかくプリンターの主は選択を迫られる。
修理に出す。この場合はほぼ元通りになって返って来るのだが、ほぼ新型が購入できる金額を払う。次の手はジレットを捨てる、すなわち新型を購入する選択肢だ。しかしネットで6C10を検索すると、動画で解決法がアップされている。
しかし6C10の原因はひとつとは限らない。接触不良やカウンターリセットで済む軽度のものはこれで生き返る。しかしほとんどの場合はインクタンクのクリーニングが必要になる。それでもインクのクリーニング溶剤をDIYショップで手に入れ、部屋やを手ががインクで汚くなる覚悟を決めたら、実行するのが最後の選択肢である。
インクの価格が以上に高いため、ユーザーは詰め替えを自分でやることになる。100円ショップで換えインクが手に入る。ただし純正品と異なり粒子が粗いので6C10への道が近くなる。それを考慮にいれると必ずしも安いわけではないのだが、使用頻度が高ければクリーニング機能が働く回数が多くなり、使えているという報告も少なくない。
不思議なことに6C10を解除しても寿命はせいぜい1年である。インクジェットは儲かるとキャノンのCEOが認めているくらいだから、経常利益に貢献度は高いのだろう。しかしこのビジネスモデルはあきあきした。おそらくいつか粒子を純正品と同じ程度にした詰め替えインクが出現するだろう。それでこのビジネスモデルは破綻するのは目に見えている。
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