山岳地帯でゲリラが強い理由


 アフガンから撤退を余儀なくされたアメリカだが、さきにかいたようにスイスも山岳地帯を要塞化しヒットラーをも攻める気にもさせないほどの、防御力を持っていた。


 攻め入ったら相当のダメージをくらうばかりか、残された治政的な価値はない。犠牲を払うだけの価値がないと判断したヒットラーはまともな判断ができていたようだ。


 アフガンの山岳地帯は自然の要塞で圧倒的な装備と補給で支えられた数10万のアメリカ軍を撤退に追い込んだ。しかしその前に近代戦を挑んで同様に撤退しさらには崩壊まで追い込まれた先輩格の大国がある。ソ連である。


 10万人の軍隊を送り込んだソ連の敗退は何故起こったのだろうか。基本的には山岳地帯のアドバンテージでゲリラ戦を展開した相手を支える支援があったことが背景にあるとみられる。


 (戦争の常として)支援して利益を得ようとする国、利益を得ようとする人たちが暗躍したことで、ソ連の誇る武装ヘリの天敵といえる携帯地対空ミサイルがゲリラに送り込まれた。


 映画「ランボー」でたびたび登場するソ連の武装ヘリコプターは重武装で平地で一度狙われたら逃げることはできない、はずだった。しかしゲリラの持つアメリカ製の携帯地対空ミサイル「ステインガー」で簡単に撃ち落とされて、多くの犠牲が出た。


 ヘリの弱点は携帯ミサイルにあったことが証明されたのである。


 攻撃する前に貧弱な装備のゲリラにしてやられた、という意味ではベトコンにやられたアメリカ軍と同じだが、ベトナムでの敗戦もアフガンでの敗戦も言い訳は、湿地帯、山岳地帯という地の利であった。


 ソ連の生んだカラシニコフAK47はテロリストが常用し、旅客機を撃ち落とした携帯地対空ミサイルは米国製。テロリストを支えているのは結局、武器を供給した西欧だった。


 テロリストへの武器の供給をやめること、そのためのお金の動きを明らかにすることが結局はテロ撲滅の近道なのだ。徳川幕府は賢い政策をとっていた。刀狩りである。これにより武士を農民に追いやり、体制に逆らうことが物理的にできなくなった。


 テロリストへの刀狩りにはお金を止める、ことが最も効果的のようである。皮肉にも原油価格の下落でテロリストは金欠になっている。テロリストをお金で誘って一網打尽にする囮作戦には好都合なのではないだろうか。