非常時の備えが身に付いた国





 

 スイスが永久中立を貫いた理由についてはかいた。繰り返しになるが、ひとつは山岳地形を知り尽くして、隠された要塞といざというときに国民皆兵と意志を持った国民。それに金融を押さえて各国の大企業、有力者の財産と情報を持っていることである。


 スエーデンも過去をみれば戦争に巻き込まれこそしたが、自衛のための軍隊は冬場で力を発揮するあなどれない存在である。スイス陸軍の装備には民間のアウトドア製品が使われている。


 trangiaという会社である。アウトドア派や山登りをする人たちには写真のストムクッカーが人気がある。


 アルコールバーナーの周囲をアルマイトで覆っただけだが、実に効果的に風を遮断する。屋外で強風時にバーナーの火が揺れて、ついたてでは役に立たないのでイライラした経験があるのではないだろうか。trangiaストームクッカーでは純正のアルコールバーナーの代わりに、他社製のバーナーをガスカートリッジやホワイトガソリンで使用できるので火力に不足はない。


 ストームクッカーは陸軍装備の基本で、野営に欠かせないが、一般の国民が軍隊装備を持っていていつでも、いざとなれば野営できる。やはり自主独立において最も重要なのは国民の緊急に備える意識、なのではないかと思う。


 欧州ではバックパッカーを駅でみかける機会が多いが、その中には野営の装備を持つ人が少なくない。若者は旅をして学ぶ、というが野営していれば自然、人間、貴重な体験をするが、リスクを見抜き危機から逃れるスキルを身につけることになる。


 野営のスキルは若いうちに習得するにこしたことはない。若者に野営させろ、である。大自然に接し、様々な極限に遭遇し知恵で乗り切ることを自然に学ぶからだ。


 家で眠っているテントや寝袋があるのではないだろうか。米国では反抗期の息子を持つ父親はキャンプに連れて行く。緊急時に協力して難関を乗り越える時に、父に反抗する息子も軍隊同様にお互いの信頼感を増すだろう。