写真はドイツの食料品店でのチーズ販売コーナーである。ここでは客がチーズやソーセージを手にとることができないのだ。
九州で新鮮なイカさしを食べた人ならご存知だろう。生きているイカは手でふれてはいけないことを。人間の体温で火傷して鮮度が落ちるからだそうだ。
さて日本の食料品店でいつも気になることがある。肉、ソーセージ、チーズおかまいなしに手にとり、産地や賞味期限を確認するだけなら許せるのだが、手のなかでの感触を確かめるようにひねくりまわす場面に遭遇することだ。
体温といえどもチーズやソーセージには命取りになる場合もある。許せないのはそうした人たちが気になって、観察しているとそういう怪しげな人に限って決して最後に買い物かごにはいれない確率が高い。
ひねくりまわして結局ぽいっと元に戻す。あれは一体何をしたかったのか、意味がわからない。
ともかくここでは手に取れない。しかし奥にいる店員にきくことが出来る。例えば自分の好みを伝えると快く、説明してくれる。コミュニケーションが売り手と買い手で成立するということが商売の基本なのではないだろうか。
いつの間にか専門知識を持つ店員は店から姿を消した。店員はパートなのできいても無駄だ。レジも無人機ですますのでコミュニケーションは不在で買い物が終わる。
ドイツでは嗜好品は(数字という意味も)値段で買わない。自分で納得できる品質の品物を納得できる値段で変える場所で買う。コミュニケーションがある場所で。
思い出せば昔の商店街ではそうだった。野菜、果物、魚、乾物、総菜、酒、パンなんでも店の主人と会話して買い物する時代があった。そういう文化が日本にもかつてはあったのだ。
いつもいつもランキングを頼りにした生活はうんざりする。自分の感覚でランキングをつくるのって楽しい。
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