トルコにはどの街に行っても骨董品と絨毯を売る店、そしてそのどちらも売る怪しげでいて何ともいえない魅力を感じる店が必ずある。
タイムマシーンの小説や映画は数えきれないほどあるが、人生を振り返るとあの時、こうしておけば、…という瞬間を誰でも思い当たるだろう。
トルコの骨董品屋はタイムマシーンのようだ。砂漠の盗賊が使っていただろう刀、海賊の所有していただろうパイプ、古代の占い師の呪術の道具、謎の美女が身につけていたであろう装身具などなど。
それぞれに刻まれた歴史が蘇ってあたかもタイムマシーンに飛び乗って時空を旅してその世界に迷い込んだかのようである。
品物を手に取って眺めているうちに想像力を掻きたてられる。静けさの中に時間の経過が忘れられるひととき。
後ろで声がする。さあさあお客さん、絨毯をみてってくれ、良い品物があるよ、という主人の声に我にかえる。
絨毯の説明は骨董品に比べればどうでも良いのだが。
確かに品物はいいし値段も国内で購入するのがばかばかしい値段である。しかし重くてかさばるので土産にはちょっと。
おかまいなしに説明しまくる主人だが買わなくても文句はいわない。説明をだまってきいてもらえるだけで上機嫌である。
そんな骨董品屋でタイムマシーンに乗り、いくつかある過去の瞬間に戻りたい、と思うのは筆者だけだろうか。
店を出るとコーランが聞こえてくる道を歩いて現在に戻るとするか。
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