東西の境アンタルヤにて

 

 イスラム文化はとてつもなく独創的で、東西文化に大きな影響を与えたことは確かだ。しかし一方では現在、世界中を恐怖に陥れているテロリズムとも関係が深いことも事実である。


 何故そうなったかは、我々の日常生活からは理解することはできない。この地イスタンブール郊外の古い街、アンタルヤには古い城壁の一部がモニュメントとなってそびえ立つ。


 文化的にはトルコはイスラム圏であっても西欧と東洋の境界にある独特なものである。ここでは若い女性はファッションもメークも西欧以上に西欧的で、週末となればホテルはデイスコに変身する。


 歩き回っても慣れてしまえばどの国から来たのか、などということはどうでもよくなる。古い建築物に古代への思いを馳せていると、突然どこからともなくコーランが聞こえてくると我に帰る。


 規則のきびしいイスラム圏であっても自由が許されている国が存在することは、彼らも気がついているに違いない。


 規則で縛る組織はいずれ内部から崩壊する。過激な行動についていけない大多数の指示を失っている集団は孤立化し、内部闘争で自滅するだろう。


 しかし東西文化のメルテイングポットのトルコには現代社会が見え隠れすると感じるのは感傷だろうか。


 イスタンブールの喧噪に飽きた人にはアンタルヤがお勧めである。ここには古代オリエントへのタイムトラベルへの入り口があるからだ。