夜のスペイン坂は一段と賑わいをみせる。ここにすわって時の流れと喧噪に身を任せるのは楽しい。各国の言葉が入り乱れありとあらゆる人がいて、皆楽しそうである。
お金はかからない。目と鼻の先にあるコンドッテイ通りには観光客があふれ、こっちを不思議そうに遠巻きにして眺めている。
買い物に熱心な観光客はアメリカ人と日本人が多い。高級ブテイックを巡り歩く彼らとここにたむろする人々にはみえないけれども高い壁がある。
まるで別世界のようだ。お互い相手を異民族とみなしているのは明らかである。高級品を買いあさる人と無関心な人、である。どちらにもそれぞれの価値観があるのだから、それはそれでいい。
筆者自身コンドッテイをぶらぶらするのは楽しいと思う。しかしこちら側に来て坂の頂上から見下ろすと何か違う。ここではお金を使うものといったらジェラートくらいである。これは後に禁止になったそうだが、当時は許されていてローマの休日のヘップバーンがたくさんいた。
恋人達は坂に腰をおろして楽しそうにおしゃべり。お金がなくてもこんなに楽しく過ごせる人は幸せである。そういえばブラジルでもスペインでもこういう場所はあった。日本でいえば新宿のアルタ前にあたるだろう。
スターバックスに入って話をするのもいいが、お金を使わずに楽しくおしゃべりして時間がたって行く憩いの場所が都会には必要なのではないか。
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