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世界最大のSNSであるFacebookは、相次ぐ情報漏洩で個人情報とデータ保護に対する脆弱性に利用者の不満の高まっている。ニューヨーク・タイムズの報道によると、150のパートナー企業が、Facebookユーザーからの個人情報や、個人のメッセージを含む友人の個人データにアクセスしている事実が発覚した。Facebookと他のサービスとのデータ共有をユーザーに周知しなかった責任が問われるなかで、ガバナンス強化を求める声が高まり、個人情報保護のための法規制の動きもでてきた。
Facebookは、2016年の米国選挙でロシアの組織を含む、情報の操作や誤報を止められなかったことでも打撃を受けている。同社は、ドナルド・トランプキャンペーンで働くケンブリッジ・アナリティカが数千万人のFacebookユーザーのプロファイルデータを取得したことを認めている。これはFacebookの利用規約違反になる。
Facebookとその他のSNSは、いずれも差別的な発言、いじめ、政治的キャンペーンでの悪用などへの対処に追われており、米国政府と世界各国が調査を開始した。世界的にFacebookが、社会や民主主義に悪影響を与えるかどうか存在意義を見直す時期に来たとする懐疑的な意見が広まった。
Facebookの幹部は、米国議会などでの公聴会でより透明性を約束し、偽のアカウントや外国の影響キャンペーンを見つけ出して根絶する努力を強化するとしている。しかし現実には相次いで個人情報の漏洩のニュースがメデイアにあふれていて収束する気配がない。
タイムズ紙によると、Facebookの株価は水曜日に7%以上下落し、コロンビア特別区がユーザーのプライバシーを侵害していると主張する訴訟が起きた。同社の株式は2018年の高値から35%以上下がった。しかし、不思議なことにこれまでのところ、ユーザー数と収入は、ほとんど影響を受けていない。アクティブユーザー数は第3四半期に22億以上に増加し、インスタグラムを運用し、Oculus VRハードウェアを販売する同社の売上高は前年比33%増加した。
Facebookの独裁的な経営は状況が悪くなった場合でも、株主が経営陣を追い出すことができないという悪いコーポレートガバナンスの見本となっている。ザッケンバーグ独裁体制を監視する声が高まる中で、消費者のプライバシー保護で幹部が責任逃れをさせないため拘束する法案も検討されている。しかし法規制に対しては欧州と米国には温度差が大きい。米国議会でデータ保護規則を厳しくする法案が通る可能性は低い。
米国はIT企業の筆頭で稼ぎ頭であるFacebookを自社が危機管理対策をとることが望ましいと考えており、欧州のような個人情報保護の法的規制はさけたいとの思惑がある。Facebookの規制問題でも法的規制に走る欧州と自由を保障する米国の温度差で欧米が強調して法規制に走る可能性は低い。
実はFacebookの限界と脆弱な個人情報保護はプラットフォームの古さにあることをユーザーは見抜いている。すでに先端にいるユーザーの間ではインスタグラムなど新しいプラットフォームへの地滑り現象が起こっている。新しさを追求する若者から見れば、Facebookはまるで化石のようにみえるらしい。案外、Facebookの将来を決めるのは法規制でなくユーザーの選択ということになるのかもしれない。